小田原・箱根・湯河原・真鶴 人物風土記
公開日：2025.02.22
歯科医師で「男の介護教室」を小田原市で初企画した
木森 久人さん
湯河原町勤務 46歳
その後の健康まで守る
○…男性が介護で必要な知識や技術を学ぶ「男の介護教室」。東日本大震災の被災地から始まった、介護に不慣れな男性をサポートする取り組みに共感し、小田原市内で初めて企画した。本業は湯河原を拠点に訪問診療を行う歯科医師。その中で妻の介護をする夫が料理ができず、コンビニ弁当がベッドの横に積まれている様子を目にしてきた。「男性は介護の悩みを抱え込んでしまう傾向がある。同じ境遇の人同士が学んで、話もできる場所になれば」と、男性に目を向けた教室の必要性を説く。
○…小学生のときから読書が好き。ミステリー小説や古文など「暇さえあれば読んでいた」。人の役に立ちたいと夢を描き、姉の影響で大学は歯学部を選んだ。「自分のやりたい仕事はこれ」。患者の生活環境まで直接見られる訪問診療に魅力を感じた。大学院を卒業後、長野で３年、歯科医の経験を経て、12年前に湯河原町で開業した。
○…コロナ禍で外出が制限される中で、「人と触れ合わないのでいいかな」と釣りを始めた。船舶免許を取得し、魚の捌き方もユーチューブで学んだ。現在は、小学生の息子と毎週、自宅のある横浜の海に自前の船で出て「息子もすっかり上達して、私より多く釣ることも増えた」と父親の一面をのぞかせる。
○…訪問診療では、虫歯や歯周病の治療などに加え、摂食嚥下障害のリハビリにも力を入れる。「口の機能を整えるのはスタートライン。その後の健康を守ることが仕事」。患者の生活環境を直接見るからこそ、より日常のケア不足や咀嚼・嚥下の問題に気づき、生活の質を支えたいという思いは強い。歯科医師法に記載される『国民の健康な生活を確保する』を実践し、今日も患者一人ひとりに寄り添う。
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