小田原・箱根・湯河原・真鶴 人物風土記
公開日:2025.04.05
世界三大デザイン賞のひとつ「iFデザインアワード2025」を受賞した
瀧澤 光さん
南足柄市福泉在住 31歳
「欲しい」に応える
○…「灰が散らない」実用性を兼ね備えたお香立て『YOKOU』で世界に認められた。「カッコいいデザインだけじゃ生きていけない」。消費者が「欲しい」と思える商品づくりを意識して、いくつもの試作品を世に提案してきた努力が実った。今回町工場と連携して製造するにあたり、クラウドファンディングを実施。230万円超を調達した。「欲しい」に応えようと試行錯誤を続け、実績も重なり「自信が出てきた」と微笑む。
○…南足柄市出身。小さいころから工作が大好きだった。美術教員の母よりも「木刀を作ってくれたじいちゃん」の影響が大きい。小田原市内の高校の会計コースに進学したが就職は見送り、プロダクトデザイナーになるため一念発起で美大を受験。「学力もデッサン力もなかった」。一浪して入学後は、インダストリアルデザインに相当な熱量で打ち込んだ。守衛に顔を覚えられるほど寝泊まりして課題に取り組み、大学院まで進んだ。
○…大手住宅用建材メーカーのデザイン部に就職したが、思うようなキャリアが描けず2年で退職。都内のデザイン事務所でアルバイトをしながら、個人での活動を始めた。「下積みが長い芸人みたいな感じだった」。手応えを感じ始めたのは3年前頃から。東京のデザインコンペで優秀賞を取り、ビックサイトで開催されたギフトショーに出展すると商談につながった。「通用するかも」と光が見えた。
○…現在は、大学時代に苦楽を共にした友人とユニット『凡』を組み、活動する。小田原や箱根、足柄には技術力の高い町工場や伝統的な工芸品があるが、後継者不足で廃れる現状も。業界の活性化に「僕みたいなのが力になれるのでは」と地域貢献の可能性も探り始めている。
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