終戦の年の1945年6月、横浜市や川崎市から酒田村(現在の開成町)へ、援農(農作業の応援)のために派遣された当時13歳の少年たち5人が、67年の歳月を経て6月22日、再びこの地域を訪ねた。
来町したのは、浜田俊一さん(横浜市鶴見区在住)、小祝定樹さん(同市港北区)、岩崎博さん(同市神奈川区)、山崎庄司さん(同)、石原一さん(川崎市中原区)の5人で、法政大学第二中学校(旧制。現在の第二高等学校)7期生のメンバー。7期生は1945年5月29日の横浜大空襲を機に勤労動員先から学校へ引き上げていた所で援農の指示が下り、約150人が酒田村を訪れて農家などに分宿しながら1週間、麦刈りや田おこしなどの農作業を手伝った経験がある。浜田さんらは7期卒業生の会として、今でも毎年7月7日に同窓会を開いており、以前から「みんなで開成町を訪ねたいね」と話していたという。今回は全員が80歳になった節目の年として本格的に企画。代表として5人が開成町を訪れて散策し、7月の同窓会で報告することになった。
5人は「金井島の遠藤さんという家にお世話になった」「10歳位の女の子に馬の口取りを教えてもらった」「水がきれいで、夜にはホタルが飛んでいた」などのおぼろげな記憶をもとに町内を巡り、舗装された道路や当時は駅も無かった町の発展した姿に「浦島太郎になった気分」と感心すると共に「あの松並木に見覚えがある」など懐かしげな表情を見せていた。来訪の報を聞き、町長室で5人を出迎えた府川裕一町長は「この町を思い出して頂いて嬉しいです。また祭の際などにぜひお越しください」と歓待した。
故人の記録を元に対面
訪町の目的の一つとなったのが、同じ7期生で昨年亡くなった赤城利男さんの覚え書き。当時赤城さんが宿泊した「足柄上郡酒田村字牛島の草柳万太郎さんの家」を町に尋ねたところ、孫にあたる英一さん(81)との対面が実現した。英一さんは「当時の建物は残っておらず、私も覚えていないが、そこに温かな人間関係があったということが嬉しい。お会いできて良かったです」と語った。
5人は「当時お世話になった家には毎日腹いっぱい食べさせてもらい、帰る時には餞別に持ちきれないほどの米や野菜をもらった記憶がある。思い出の場所にまた来ることができて、本当に嬉しかった」と語った。
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