山北町教育委員会がこのほど、小学校高学年向けに郷土の歴史や文化をまとめた副読本を創刊し、町立小学校の5・6年生に配布した。副読本づくりは2年前の子ども議会で当時の児童の提案を受けたものだった。
「社会科で山北町にたくさんの史跡や遺跡があることを知った。多くの人に知ってもらう必要がある。町は現在の社会のもとを築いてきた人々の思いをどう伝えるのでしょうか」―。
町では、それまで小学生と中学生が隔年で実施していた役場議場での「子ども議会」を、2015年から小学6年生を対象に毎年実施することにした。
その第1回目となる15年2月の「子ども議会」で当時川村小6年だった三尋木瑠依さん(現中3)が、クラスメイトと話し合い前出の質問をした。
議場にいた石田浩二教育長(63)が即座に反応し、教育委員会の職員に副読本制作の検討を指示。文化財保護委員と教諭でつくる編集委員を立ち上げ、文化材保護委員の茂木哲夫さんを中心におよそ2年がかりで「歴史文化から学ぶわたしたちの山北」をまとめた。
副読本には、三保地区で発掘された縄文時代の尾崎遺跡に始まり、武士が活躍した河村城や江戸時代の関所、富士山噴火や関東大震災からの復興、東海道線として人々が往来した鉄道、町に残る戦争遺跡などの歴史を収録。民俗文化財や天然記念物、語り継ぎたい言い伝えなども盛り込んだ。
石田教育長は「副読本ですべてを網羅することはできないが、地域の歴史に関心を持つきっかけになれば」「子どもの視点に立つ大切さを改めて実感させてもらった」などと話している。
4月19日には三保小学校で副読本を活用した出前授業も行われ、6年生5人が丹沢湖に沈む尾崎遺跡について職員から話を聞いた。
杉本啓悟君は「知らなかったことばかりで楽しい。もっと詳しく勉強したい」と話した。副読本はA4判冊子。32ページのカラー刷り。
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