大野山に住む家具職人の中根和広さん(53)が、4月26日から東京銀座で初の個展を開催している。福岡県北九州市生まれ、飛騨高山から北海道北見を経て、熊本県阿蘇で家具工房を開き、12年夏に家族で山北町皆瀬川に移住した。
三菱グループのメーカーを25歳で退職し、木工職人をめざした。まずは職業訓練校で基礎を学び、家具の本場、飛騨高山で技術を磨いた。北海道北見で木工建築を学び、独立するべく地元の九州へ戻った。
ひとまわり年上の先輩職人と出会い、熊本県阿蘇で念願の工房を開いた。先輩職人の手ほどきでオーダーメイドの仕事が入るようになり軌道に乗った。
工房の家主が土地と建物をそっくり売却することになり移転を余儀なくされ、それまで漠然と考えていた関東近郊への移転を決意した。この時すでに結婚して一児をもうけていた。
関東近県の山間部を中心に次々と訪ね歩き、たどり着いたのが山北町だった。
その年に廃校になった旧共和小学校の跡地利用を模索していた役場と地元の共和地区の世話役に校舎を案内されひと目で惚れ込み、熊本から家族を呼び寄せた。当時、中学生だった息子はいま、共和から私立大学に通っている。
”アシ”好き
家具職人は大きく分けて「ハコ好き」と「アシ好き」がいるという。中根さんは後者で、テーブルや椅子といった脚付きの家具作りを好む。”ハコ”とはタンス類を指す。
「日本の住まいにおける椅子は、ダイニングテーブルとセットだったりソファーだったりととても控えめ」。そう話す中根さんは、椅子を研究するうちに暮らしの中にさまざまな椅子があることに気づいたともいう。「暮らしの中で楽しく積極的に使ってもらえる椅子をつくりたい」と、作り続けている。
材料となる木に好みのようなものはない。椅子としてまず求められる”座り心地”は「ある程度の技術があれば満足してもらえる」が、デザインや部材の加工で醸し出される「美しさ」は、にわかには表現できない。そこに大きな影響を与えるのが環境で「共和の山」は欠かすことのできない「大きな要素」ともいう。
「木の椅子展」
4月26日(水)から5月1日(月)まで、東京都中央区銀座5丁目の「ギャラリーぎおん石」で、初の個展『中根和広 木の椅子展』を開いている。午前11時から午後6時(最終日午後4時)。暮らしやスタイルに合わせたオリジナルの椅子15点を展示し、終日在廊する。
▽椅子工房・之(ゆき)…山北町皆瀬川275【携帯電話】080・5266・9157
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