神奈川県内唯一の山岳救助技能指導官を務める 相田 一己(かずみ)さん 山北町在住 55歳
山での希望の光に
○…松田警察署三保駐在所勤務。日々巡回パトロールなどを通じ、地域の安心・安全に努めている。同時に神奈川県内で唯一の「山岳救助技能指導官」でもあり、西丹沢などで発生するけがや遭難への救援・救護に力を尽くす。「山岳救助は山における一つの光。助けを求められる以上は期待に応えたい」。今年6月には、一線で活躍する警察官をたたえる「県民の警察官」として表彰されている。
○…20年以上前にかかわった玄倉川での救助活動が難航したことにより、それまでの救助隊の安全管理体制などの見直しを図るきっかけとなったと振り返る。現在は常に情報をアップデートしながら、隊員自らの安全確保や救出のための技術向上に余念がない。一方で、「自らの身は自らで守る意識が不可欠」だと言い、体力や技術、経験に見合った登山計画、山の気象変化に常に注意を払うことが安全な登山への第一歩と呼び掛ける。
○…横浜市出身。自然に囲まれた環境下で「のびのび育てられた」と懐かしむ。将来について考えた高校時代、職業適性テストの結果がきっかけで「警察官」になる道を選んだ。以来、機動隊や空港警備隊などを経て1996年から山北町で勤務している。西丹沢の美しさも怖さも知り尽くしている「プロフェショナル」だ。
○…つかの間の息抜きにと足を運ぶのが、趣味の渓流釣りだ。「やると決めた日には早朝から夜までとことん釣りますよ」と声が弾む。目当てのスポットを探しては仕事と同じように山の中へ。「体が勝手に動くんですよ。職業病ですかね」と頭をかく。今後の目標は、山岳地帯に精通するプロの救助集団を構築すること。昼夜関係なく活動するその姿はまさに「県民の警察官だ」。