神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙

  • search
  • LINE
  • MailBan
  • X
  • Facebook
  • RSS
足柄版 公開:2022年7月30日 エリアトップへ

三保ダム工事 動画に残る「湖底のふるさと」 住民の声など8ミリに

社会

公開:2022年7月30日

  • X
  • LINE
  • hatena
代田則高さん(1992年頃)
代田則高さん(1992年頃)

 1970年代の三保ダムの工事を記録した8ミリフィルムが、あつぎ郷土博物館(厚木市下川入1366の4)に寄贈され、活用に向けた整理が始まった。タイトルは「湖底のふるさと」。223世帯が移住したダム事業で、故郷を後にする住民の声や工事関係者の横顔を収めている。

 撮影した代田則高さん(厚木市)は昨年12月に80歳で他界。その直前に「地元のために」と寄贈を思い立ったという。

 代田さんは若い頃に趣味で8ミリ撮影を始め、当時暮らしていた川崎市の祭りや運動会などを撮っていた。50年ほど前に友人と相模線をテーマにしたドキュメンタリー制作に取り掛かり、国鉄とも交渉しながら1本の作品を完成させた。

精力的に山北へ

 ダムの建設を知ったのはこの頃。車に機材を積んで山北に通うようになった。映像は引っ越してゆく人や抗議活動をする住民、工事現場でうなる重機や竣工式なども記録。湛水により湖底に沈む茅葺き屋根などの集落や、新しいダムのほとりで観光振興に取り組む人々も収めている。

 数年間にわたる撮影に同行したのが長女の雅子さん(55)だ。「撮影当初は抗議活動中の方から『(撮っても)無意味だからどけ』などと怒られた事もありました。子ども心に何で父はこんなにペコペコするんだろうと。何度も通ううち『ちゃんと撮って』という声に変わり、お茶を振る舞われるようになった」。年配の女性から、山菜を手渡され「ここで採れるのは最後だから味わって食べて」と涙していた事が忘れられない。「ダムが皆のためになるとはいえ、代々暮らしてきた土地を去るのはつらいはず、撮影して残してあげたい」。それが代田さんの口癖だった。

 自宅に現像用の暗室も備え、動画と別に録った音声を組み合わせる編集にも没頭。BGMやナレーションを巧みに組み合わせて本格的なドキュメンタリーに仕上げた。「湖底のふるさと」は生前DVDにして町関係者や知人に配った事もあったが、その存在を知る町民は少ない。

上映を目指す

 気軽に撮り、ネットで公開できる昨今について、代田さんは「便利なせいで人と人とのふれあいが減った」とこぼしていた。一方でユーチューブに公開中の動画「相模線」は5万回再生され、コメント欄には感謝の言葉が連なっている。

 同館では収蔵品を整理し始めており、劣化防止などの処理の後に上映などの活用も検討中。予定が決まり次第、公式ページで伝えるという。

水をため始めた頃の永歳橋(上)や完成当時の三保ダム(左下)集落の様子(右下) 「湖底のふるさと」より
水をため始めた頃の永歳橋(上)や完成当時の三保ダム(左下)集落の様子(右下) 「湖底のふるさと」より
寄贈されたカメラ
寄贈されたカメラ

足柄版のトップニュース最新6

「健康」でライザップと協定

開成町

「健康」でライザップと協定

医療費抑制などを期待

4月20日

開成・大井で「移行」始まる

中学校部活動

開成・大井で「移行」始まる

足柄上エリアの状況調査

4月20日

仁王門100年ぶり修繕

延命寺(松田町)

仁王門100年ぶり修繕

開山550周年事業で

4月13日

「のるーと足柄」利用1万人

松田町

「のるーと足柄」利用1万人

運行開始から半年

4月13日

学習机の天板、町産材に

山北町立川村小

学習机の天板、町産材に

「町の林業身近に」

4月6日

車両損壊等が連続発生

松田署管内

車両損壊等が連続発生

3月末に被害が集中

4月6日

意見広告・議会報告政治の村

あっとほーむデスク

  • 4月20日0:00更新

  • 4月13日0:00更新

  • 4月6日0:00更新

足柄版のあっとほーむデスク一覧へ

バックナンバー最新号:2024年4月20日号

もっと見る

閉じる

お問い合わせ

外部リンク

Twitter

Facebook