足柄 人物風土記
公開日:2022.09.10
矢倉沢で(株)足柄養魚場を経営する
高原 良さん
南足柄市在住 47歳
諦めずに「Let it be」
○…狩川の清流を活用し、ヤマメやイワナ、ニジマスなどを養殖する(株)足柄養魚場を2004年から経営している。19年10月、台風19号による豪雨と狩川の水位上昇で、市内矢倉沢にある養魚場は壊滅的な被害に見舞われた。19区画、約700平方メートルのいけすで育成中だった約20万匹が全滅。突然の惨状に一時は運営を諦めかけた。そんな時、同業者が魚を貸してくれたり、友人たちの励ましもあり、翌年春には復旧にこぎ着けた。「助けてくれた皆には感謝しかない。仲間が困った時は今度はこちらがサポートしたい」と力強く語る。
○…生まれは横浜市。小学生のとき、よく父親と山梨県の道志川で魚釣りを楽しんだ。心地良い渓流で出合うさまざまな魚たちの中でも、特にヤマメに心惹かれた。「別格に綺麗なんですよ」。夏休みの宿題で、木を削ってヤマメの形のルアーを制作したこともあった。「全然釣れなかったけど、良い思い出です」と振り返る。
○…道志村にある魚の養殖場に就職したのは20代半ばのこと。勤務する中で「いつか独立し、自分も養殖場の運営に挑戦したい」との夢が広がっていった。南足柄市の養魚場経営者と出会ったのはそうした時だった。「もし良ければ、うちの施設を引き継いでみないか」と誘われ、二つ返事で引き受けた。
○…それから約20年。現在は妻や息子を含む5人で力を合わせ、約30万匹の魚の養殖のほか、マス釣り場などを営んでいる。生き物相手で、2週間で1日くらいしか休日はないほど多忙な日々。家で息子とテレビゲームを楽しむことなどが束の間の息抜きになっている。人生は「Let it be。なるようになるさ」。川が流れ続けるように、これからも前を向いて歩み続ける。
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