はだのっ子 いま・みらい 教育寄稿第24回 心を和やかにする言葉かけを 内藤 美彦
「愛語、回天の力あるを知るべし」という道元禅師の言葉があります。「思いやりのある言葉は、世の中を変えるほどの力がある」ということなのでしょう。学校の教室に、よく掲げてある次のような詩があります。「ひとつの言葉で喧嘩して/ひとつの言葉で仲直り(中略)ひとつの言葉はそれぞれに/ひとつの心を持っている」。
昔から、日本人は言葉を大切にし、「言霊」(ことだま)と呼んでいました。言葉には、人の禍福を左右する力があると信じていたのです。昨年、失言して大臣の座を失った人がいました。また、「少年よ、大志を抱け」というクラークの言葉は、今でも、少年の心を奮い立たせます。
99歳の柴田トヨという方が、詩集「くじけないで」を昨年出版され、すでに100万部も売れているという報道がありました。それらの詩の一部を抜き出してみます。「陽射しやそよ風は/えこひいきしない」・「やさしいことばもらったら/心に朝顔/咲きました」・「やさしさもらったら/心に貯金しておくの」。こうした言葉がいっぱい詰められているのです。
テレビでも放映され、多くの人から「やさしい気持ちになった。勇気が湧いた。涙が止まらなかった」などの感想が寄せられていました。99歳という人生経験豊かな人の「人生の応援歌」と言えるでしょう。
この詩の言葉は、誰にでも言えそうですし、聞きたい言葉でもあります。日常生活で交わせそうですが、使われていないから、トヨさんの詩が新鮮で、心を打つのでしょう。閉塞感に包まれ、「無縁社会」などと呼ばれる現状にあって、人の心は寂しく、飢えています。優しい言葉が、清冽な水のように渇いた心を潤してくれるのだと思うのです。
省みるに、家族にねぎらいの言葉を、子供には励ましの言葉を、周りの人にいたわりの言葉を投げかけることが、あまりにも少ない自分に愕然としました。
人の心に快く響く言葉を交わし合うことが、社会や家庭を明るくするのです。「笑顔で挨拶」をスタートに、心を和やかにする言葉かけを進めましょう。家族には、どうも照れ臭いと思う時は、伝えたい言葉を歌などの文字に書いて渡すのも楽しいと思います。
■プロフィール
横浜国立大学卒業。秦野市立小学校教諭。秦野市立本町小学校校長。秦野市教育委員会教育長を歴任。
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田原ふるさと公園野菜直売研究所0463-84-1281/そば処東雲0463-84-1282 https://www.kankou-hadano.org/pointinformation/pointinformationguide/point_tawarafurusatokouen.html |
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