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秦野 はだのっ子 いま・みらいコラム

公開日:2011.04.02

はだのっ子 いま・みらい
教育寄稿第27回
明るい会話が子供を育てる
内藤 美彦

 「親の心 子知らず」と言いますが、親が子供の悩んでいることに気づかないことが少なくありません。些細なことでも、子供だけに深刻になり勝ちです。小さな胸を痛め、苦しむようなことがなく、伸び伸びと天真爛漫な生活をさせたいと誰もが願っています。



 小学校2年生の女の子が突然、不登校になりました。親も教師も、一生懸命に学校に行くよう勧めるのですが、首を縦にふりません。いくら聞いても、その理由を話そうとしないのです。いろいろな相談機関を訪ねたのですが、解決しないまま、1年近く経ちました。



 そんなある日、心理相談員が、家を訪ね、いつものように話をしていると、ふと「お母さんは家出しないよね」と言ったのでした。おかしなことを言うなと思い、その訳を尋ねました。重い口をやっと開け、次のような話をしたのです。



 1年ほど前、祖母と母とが言い争いになった時、母が「私、家を出て行きますから」という言葉を口にしました。それを聞いていた彼女は、自分の居ない時に、母が家を出ていってしまったらたいへんだ、と思い込んだのです。もし、学校へ行っている間に、家出されてはと心配になり、学校へ行けなくなったのだということでした。



 癒やしの場である家庭が傷つける場になってしまうことがあるのです。傷ついた子が家庭内暴力などに走ります。子供は、時に大人より神経質で、ちょっとした言葉や他人と異なっている点を気にし、悩みます。悩みの解決策は、悩みを口に出すことです。それができる家庭こそが癒しの場となり得るのだと思います。また、そういった家庭では悩みも生じない筈です。



 手足のない「先天性四肢切断」という障害を持った乙武洋匡さんは、大学生の時、「五体不満足」を出版し、スポーツライターや小学校教師をやるなど多方面で活躍しています。彼が障害も苦にせず、明るく生きているのは、両親の深い愛情に包まれていたからです。



 両親は、彼の全存在を認め、受け入れ、常に肯定的でした。おおらかで、笑顔を忘れず、感動を共にしました。それが、彼の自信に繋がったのだと思います。お互いが認め合い、楽しい会話が弾む家庭作りが、子育ての最良策なのです。

 

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