秦野版 掲載号:2011年11月26日号
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はだのっ子 いま・みらい 教育寄稿第37回 人や世のためになる行動を 内藤 美彦

 中国の仏山市で、ワゴン車にひき逃げされた2歳の女児が、現場を通りかかった人たちに救助されなかったため、後から来たトラックにもひかれて死亡した事件がありました。中国では、ひき逃げした運転手よりも、幼児を助けなかった18人の通行人に非難が集中しているとのことです。「経済発展の末の道徳の空白」と中国社会に強い衝撃が走っております。

 こうした事件は、中国に限らず近代社会の悪弊で、どこでも起き得ることです。電車の中で、酔客が乗客にからんでいても、誰も阻止しない光景がよく語られます。また、幼い子が親の虐待に「ごめんなさい、ごめんなさい」と泣き叫んでいる声を聞いても、近所の人は何もしなかったということもありました。

 他人のことにかかわるのは面倒なことと分かりますが、自分のことだけしか考えない人生も寂しすぎます。人に尽すことがあってこそ、稔り多い豊かな人生があるのではないでしょうか。

 先だって「南はだの村七福神と鶴亀めぐり」を先輩と二人で行いました。好天に恵まれ、富士山の頂は白い粉を刷いたように雪があり、丹沢山塊は秋の陽を浴びて光っている秦野盆地を懐に入れ、神奈川の屋根の全貌を余すところなく見せてくれたのでした。景観だけでなく、心洗われる人たちの善意にも接し、明るい気分になりました。

 まずは、八幡神社の鶴の建屋を磨いている人に出会ったことです。声をかけると「柿渋を塗らせて貰っているのですが、有難いと思っています」と返事がありました。自発的な奉仕なのに「させて貰って」という謙虚さと楽しげな仕事ぶりに心打たれたのでした。

 出雲大社相模分祠では、横浜の小学生と家族を落花生掘りに招いた人との楽しげな集いに遭遇しました。(詳細は本紙10月13日号)招待した方は、日に焼けた顔をほころばせ「こんなことで喜んでくれて嬉しい」とおっしゃったのでした。

 さらに、名水桜公園で水の流れ口の落ち葉を黙々と片づけていた人を見、福寿弁財天では役員の方がお茶を出され、歓談しました。まさに、人に尽すことを喜びとする人たちとの出会いの一日でした。こうした人がいる限り、日本の社会は健全だと意を強くしました。

■プロフィール

横浜国立大学卒業。秦野市立小学校教諭。秦野市立本町小学校校長。秦野市教育委員会教育長を歴任。
 

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