秦野版 掲載号:2012年11月10日号
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はだのっ子 いま・みらい 教育寄稿第49回 世のため、人のために 内藤 美彦

 九月場所で優勝して横綱になった日馬富士が、出雲大社相模分祠で奉納土俵入りを披露しました。横綱の晴れ姿を一目見ようと集まった約2千人が、不知大型の土俵入りに感動したのでした。同時に、横綱が支援しているNPOを通し、秦野市が横綱の故郷への救急車贈呈式も行われました。

 日馬富士と草山清和宮司とは、親方とモンゴルで横綱をスカウトした時からの付き合いで、宮司は名付け親でもあるのです。土俵入りを当地で行ったのも、恩に報いる気持ちが込められていたと思います。幕内2番目の軽量で横綱になったのは、人一倍稽古に励み、頭を使い、工夫をこらした結果でしょう。加えて、横綱の偉いところは、父親の遺志を継いで、社会貢献を続けていることです。

 彼の父親は「食べるものと着るものに不自由しなければ、残ったお金は困っている人のために使え」と日頃から言っていたそうです。彼も「亡くなった父は、出世する、しないより、正しい生き方を一番喜ぶ」と言っています。

 彼の言う「正しい生き方」とは、自分ひとりの幸せより、多くの人に喜んで貰うような生き方を指しているのです。「皆さんに喜んで頂ける相撲を取っていきます」とも言っていました。

 人間は「人の役に立っている」・「人に必要だと思われる」・「人に褒められる」・「人に愛されている」という時、生きている充実感を覚え、幸せな気分になるといいます。世の中は人と人との関わりで成立しているのですから、他者に好ましく思われる存在であることが「正しく生きている」と言えると思うのです。

 社会学者の宮台真司は、ほんとうの幸せになるためには「他者からの承認」が欠かせないと言っています。そして、自分を承認してくれる他者とは、実は「自分がつくり出す」のだと主張しているのです。そのためには「他人を幸せにすることだ」と述べています。つまり、利己的でなく、利他的であること、社会貢献がどれだけできるかで、幸せになれるというのです。

 出雲大社相模分祠の土俵入りの際の草山宮司の話に「世のため、人のため」という言葉が繰り返されていました。人が生きるとは、まさに、ここにあるのだと意を強くしたのでした。
 

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