寺山が里地里山選定 市内で5カ所目
秦野市内の寺山地区が5月28日、県の「里地里山保全等地域」に選定された。市内では名古木・菩提・堀西・蓑毛に続く5カ所目、県内では15カ所目の選定となる。
神奈川県は地域特有の生物の生育・生息環境の保全、景観・文化継承の視点から、2008年に「神奈川県里地里山の保全、再生及び活用の促進に関する条例」を施行。条例に基づき保全等の活動が行われている地域などを選定し、地域内で活動する保全団体へ活動費の補助などを行っている。
今回認定された「秦野市寺山里地里山保全等地域」は、市の東部、金目川が形成する扇状地の北端に位置する約129・97haの地域。地域内は県が指定する水源保全地域で、ホタルが生息する河川や棚田を有し、里山には針葉樹・広葉樹が混在する混合林が広がっている。また大山道坂本道・蓑毛道の2本の古道が通っている。
地元住民によると「良くも悪くも開発が進まず、人が入ってこない地域」。近年土地所有者の高齢化や獣害によって農地や山林の荒廃が進行し、地域の住民によって保全活動が進められていた。
3年前、秦野市が植樹祭の式典会場となったことをきっかけに「中丸の里山を守る会」(石井貞男会長)が発足。「登山などで寺山を訪れた市外の『寺山ファン』も地域住民に加わって会員として活動している」という。「寺山の中丸沢には県の河川が流れているので、今回の選定によりホタルの保全活動もやりやすくなる」と石井会長は今後の展開に期待を寄せる。
市森林づくり課は「秦野市にとって里地里山は貴重な観光資源であり財産。市全体で地域の活動を支えていきたい」と話した。
里地里山とは、人の住む集落とそれを取り巻く農地や雑木林などから構成される地域のこと。人が自然環境に手を加えることで形成されるが、人口減少や高齢化、林業や農業の衰退などを理由に各地で劣化が進んでいるという。
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