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公開日:2013.08.22

「棚栽培」のプルーン収穫
県内でも珍しい方法

  • たわわに実ったプルーンと栗原さん

 栗原孝夫さん(渋沢在住・74)の畑のプルーンが、栽培6年目の今年、本格的な収穫の時期を迎えた。栗原さんは、県内でも珍しい棚栽培を採用している。本来は垂直に成長するプルーンの枝を水平方向に広げ、手入れや収穫がしやすいようにと工夫したものだ。



 小田急線渋沢駅から程近い畑(曲松2の8・面積約8a(アール))では、高さ185cmほどの棚に広がる枝に、紫色の実がたわわに実る。



 栽培しているのは「スタンレイ」「サンプルーン」「シュガー」「パープルアイ」の4品種。実の大きさや味が異なるが、丸かじりすればどれもみずみずしい甘みが口に広がる。



 造園業を営む栗原さんは、10年前に心臓のバイパス手術を受けて一線を退いた。そんな時、友人にすすめられたのがプルーン栽培だ。「それまで食べたこともなかった。スーパーで買ってみたら美味しかったからね」と、気軽な気持ちで約60本の苗木を植えた。



 一般的なプルーンの栽培方法は、高さ3m以上にもなる木ごとに脚立に登るなどして作業するため、効率が悪く危険性も増す。これに対し棚栽培は、手が届く高さで歩きながら作業ができるのがメリットだ。



 栗原さんは、専門新聞の記事で棚栽培を知ったという。自作の棚は、2m間隔で鉄パイプを組み、間に竹の棒を通している。造園で培った知識を活かし、枝を結びつける材料には針金と麻ひもを使い分けている。



 栽培方法を指導してきたJAはだの松下一興(かずおき)園芸技術顧問は「自分が知る限りプルーンの棚栽培は県内で唯一。管理がきちんとされており、果実はサイズが大きく味も良い」と評価する。



 栗原さんは以前、苗木の間に植えたざる菊が新聞で取り上げられ、1日で500人が見学に訪れるなど「ざる菊の栗原さん」として有名になったことがある。「あの頃、(プルーンも)植えてあったのに誰も気付いてない。近所の人にプルーンをお裾分けしても『どこで栽培しているの』と聞かれることもあるんだよ」と苦笑い。



 収穫した果実は、直売所「じばさんず」に一部出荷し、8月24日からはもぎ取り販売も開始する(10個500円)。「もぎたてのプルーンの美味しさを地元の人に、特に子どもたちに知ってもらいたいね」。ペットボトルと棒で作った子ども用の収穫器を手にしながら笑顔を見せた。

 

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