「飛んだ。この姿を見たかった」――。山田信弘さん(65・秦野市堀山下)が、組み立てからボディ塗装、配線まで全て手作りしたB&F社(ドイツ)の2人乗り飛行機「FK―12―コメット」が2月6日、ついに大空へ羽ばたいた。2009年から製作を開始し、7年越しの夢が実現した。
飛行機のキットがドイツから届いたのは2009年。同機は世界で数十機存在するというが日本に輸入されたのは初だといい、ドイツ語の説明書と格闘しながら約3年かけて完成させた。
航空局への飛行許可申請をするため、プロの整備士にサポートしてもらい作成した書類は約70cmの厚さになった。山田さんは、約2年程で許可が下りると思っていたそうだが、思いのほか道のりは険しかった。
申請しては航空局から何度も質問が届いた。同機はドイツ製のため、その質問をドイツ語に翻訳してB&F社とメールでやり取り。そして、同社からの返答を今度は日本語に訳して航空局へ提出した。このようなやり取りが約4年続いたといい、山田さんはストレスで体調不良になった時期もあったという。「心が折れそうになった」というが、翻訳等を手伝ってくれた知人や飛行機仲間からの励まし、何よりも「コメットを飛ばしたい」という強い思いで気持ちを奮い立たせた。そして今月1日、ついに飛行許可が下りた。
フライト当日、コメットが姿を現した富士川滑空場(静岡県)の上空は無風、絶好のフライト日よりだった。「天が味方してくれた」。家族や大勢の仲間が見守るなか、ファーストテストフライトの高橋真パイロットが操縦桿をにぎりテイクオフ。軽快なエンジン音を響かせ、富士山をバックに大空に羽ばたいた。
愛機の雄姿を見た山田さんは、「やっと肩の荷が下りた。嬉しかった」という。拍手と歓声の中に着陸した同機。山田さんと高橋さんはがっちりと握手し、感動を分かち合った。
自家用飛行機の操縦免許を持ち、飛行経験もある山田さんの次の夢はもちろん自身が操縦し、コメットを飛ばすこと。「ここまでこられたのは本当に仲間のサポートのおかげ。見守ってくれた妻にも感謝。諦めなければ夢は叶うね」と満面の笑みを浮かべた。
秦野版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
<PR>