主宰誌『朴の花(ほおのはな)』が20周年を迎えた 長島 衣伊子(えいこ)さん 東田原在住 66歳
ぶれない心で花を咲かせる
○…「同じ冷たさに立てるのが指導者。私の師匠がそうであったように、私も会員の皆さんに寄り添い共にもがきたい」。1996年に朴の花俳句会を設立し20年。神奈川県内、故郷・鳥取県内の会員の元を訪れ直接指導を行ってきた。俳壇ではゼロから句会を立ち上げることは珍しく、苦労も多かった。それでも「自分の心の泉を信じて」という師の言葉を胸に、俳壇を歩み続けた。他界した恩師を思い「あの世で師匠に褒められたいから頑張るんです」とまっすぐな瞳で語る。
○…出身地の鳥取県から上京し、警察庁で事務官をしていた23歳のとき。軽い気持ちで通っていた俳句教室で詠んだ句が人生を変えた。「花こぶし薄陽(うすび)なれども崩れ落つ」。俳誌「風」同人の谷口秋郷氏の目に留まり、俳人として開眼。谷口氏の他界後は朝日俳壇選者の故・飴山實氏に師事した。毎月100句を添削してもらい、家事をしながら飴山氏の作品をカセットテープで聴いて学び取ろうと必死だった。「続けられたのは師匠の無償の愛を感じたから」。馴れ合いを嫌い、純粋に道を究めようとする師の姿は、いつしか自分の生き方となっていた。
○…警察庁時代に夫と出会い、32歳で母に。その頃秦野市へ移住した。娘が就職活動をしていた時には「びくびくするんじゃない。呼ばれる前に自分の名前を叫んで威嚇しろ」と助言、企業への就職をサポートした。ご主人いわく性格は「明朗、闊達」。懐のあたたかさで家族を支えている。
○…警察学校の俳句教室で20年間指導を続ける。日ごろ厳しい局面に晒される警察官だからこそ、俳句を通して感謝や感動、柔らかな心に触れてほしいという思いがある。また、各地の小学校にも足を運び、児童に俳句を教えている。「校長先生から、欠席がちだった子が学校に来るようになった、自然を詠むうちに思いやりの心が育まれているようだと聞くと嬉しい」と顔をほころばせた。
|
<PR>