画家で絵本作家の舘野(たての)鴻(ひろし)さん(秦野市堀西在住)が5月2日、『うんこ虫を追え』(福音館書店/たくさんのふしぎ6月号)、『みかづきのよるに』(同/ちいさなかがくのとも6月号)を発刊した。さらに5月26日には連作短編集『ソロ沼のものがたり』(岩波書店)を刊行。どれも、「昆虫精密画の舘野鴻」というイメージを脱した意欲作となっている。
様々な挑戦
『うんこ虫を追え』は、舘野さんが近所の山とアトリエで4年間観察し続けた「オオセンチコガネ」という昆虫を題材にした作品。その生態を記録した「研究日誌」としての側面も持つ。
レイアウトなどデザインを全て舘野さん本人が行い、100点ほどの絵を描いた。また、観察する舘野さん自身も初めて作品に登場。「身近なものを使い、大人が本気で面白いことをやっている」ということを感じられる作品に仕立てた。
観察を経てわかったオオセンチコガネの生態と、ボランティアで行っている県内の草原のフィールドワークがリンクしたそうで、「さらに踏み込んだ新しい作品ができそう」と話す。
もう一冊の『みかづきのよるに』は、ホタルがテーマ。四十八瀬川にホタルを見に行く親子のほんの15分ほどの日常を、パステルを用い指で描く技法で描いている。
視覚が効かない暗闇の中、聴覚・触覚・嗅覚で子どもが感じる体験を表現した。そこには「五感を使った自然の体験を子どものうちからして欲しい」という舘野さんの思いがこめられている。
最後の『ソロ沼のものがたり』は、生きものたちの濃厚なドラマを文字で表現した約170ページの児童書。小学校高学年以上対象だが、「大人にも読んで欲しい」と舘野さんは言う。
以前「あまがえるシリーズ」で文章に挑戦しているが、文章・装画・挿絵の全てを行うのは初。9つの短編があり、普段の昆虫精密画とはテイストが異なる約60枚の絵も見どころとなる。
原画展
舘野鴻絵本原画展「がろあむし 描かれた相模原の自然」が相模原市立博物館で6月5日まで開催されている。午前9時半から午後5時。観覧無料。『がろあむし』は、ブラチスラバ世界絵本原画展に絵を出展した作品。最終日には舘野さんによるトークショーも予定している。
また、6月1日から12日には、TEAL GREEN(東京都大田区)で今回出版した3作の原画展を実施。さらに6月22日から7月3日には、以前出版した『あまがえるのかくれんぼ』と『あまがえるのぼうけん』の原画展も同会場で開催される。ここでも最終日の7月3日に、トークショーが予定されている。
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