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なんつッ亭大将 古谷一郎 【私の履歴書】 シリーズ 「我が人生の歩み」 第5回・目指すは九州 ラーメン修行の旅へ

掲載号:2022年5月27日号

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 何の目標もないまま、ズルズルと自堕落な生活を送っていた僕でしたが、「そろそろ限界かな?」と思うようになっていました。何が限界かと言えば「人生をやり直せる限界」です。その頃の僕は、毎晩お酒を浴びる程呑んでいましたが、よく行く飲み屋さんで、僕と同じようにお酒を呑んで、くだを巻き、大声で、偉そうに、自分の過去を武勇伝のように、しかも毎回同じ内容の話をしているチンピラ風の人をよく見掛けました。僕は、そんな人を見る度に、自分の未来像を見ているようで怖くなりました。そういう方には大変申し訳ないですが、絶対にこんな風にだけはなりたくないと強く思うようになりました。

 また、こんな経験もありました。当時の彼女と伊豆方面にドライブに行った時の事です。通りすがりの海岸で、お婆さんを見つけました。そのお婆さんは、すっかり腰も曲がり、かなりの歳に見えましたが、海岸で一人、海藻でも拾っていたのでしょうか、何かやっていたのです。僕は車を路肩に停め、しばらくそのお婆さんを見ていましたが、決して大袈裟ではなく、「心を鷲掴みにされた」気分でした。

「あんなお年寄りでも働いている。それなのに何故、僕はまともに働いていないのだ?」

 それからずっと、そのお婆さんの姿が頭から離れませんでした。今動かなければ、飲み屋さんにいるチンピラ風への未来しか来ない。そんな想いが大きくなりました。でも、やはりすぐに行動は起こせませんでした。何をやれば良いのか、全く分からなかったのです。

 ある日、当時の彼女と家でテレビを観ている時に、僕にとって衝撃的な番組を見つけました。それは大行列をしているラーメン屋さんです。ラーメン好きの方なら誰でも知っている家系と呼ばれるラーメン屋さんの元祖のお店です。そのお店の繁盛ぶりを観て、「これだ!これしかない!」「いつかラーメン屋で一旗揚げてやる!」そう思ったのです。

 今思えば、甘っちょろい考えですが、当時の僕は、「これなら自分にも出来る」そう思い込んだのです。僕は食堂の息子で、子どもの頃から調理の経験がありましたし、すぐに辞めてしまったとはいえ、調理師学校や中華料理店やイタリアンのお店で働いた事があり、腕にもそれなりの自信がありました。ラーメンだって作った事があり、友達には美味しいと評判だった覚えもあるので、「もうラーメン屋しかない」と、単純な僕は、ラーメン屋こそが僕の天命の様に感じたのです。

 早速、そのお店に行くことにしました。実際に行ってみて、その繁盛ぶりに驚きましたし、感動しました。更に「お店にはそんなにお金がかかっていない様だ」とか「この程度の味でこれだけの行列が出来るのだったら、もっと美味しいラーメンが作れたら、もっと行列が出来る筈だ」と勝手な皮算用をして「これなら僕にも行ける!」と、確信したのです。

 とは言え、素人がすぐにラーメン屋を始められる訳がありません。どこかで修行をしなければならないと考えましたが、横浜にあるそのお店を選ぶ事はしませんでした。その最大の理由は、「地元から近い」という事です。僕は過去の経験から、生まれ変わるには昔の友達と完全に縁を切る必要があることを痛感していました。でも、今まではどうしてもそれがうまくいかなかった。もちろん自分自身の意志の弱さが一番の原因ですが、僕自身の陳腐なプライドを捨てる為にも、「いつでも会える距離」を先ずは変えたかったのです。これが自分の人生を立て直す「ラストチャンス」と考えていた僕は、昔の仲間に余計な見栄を張ったりしなくて済む様に「遥か遠くで修行するしかない」と考えるようになりました。

 ラーメンのことなど良く知らない僕は、ラーメンの本場は、北は北海道、南は九州くらいに考えていました。どちらでも良かったのかも知れませんが、あの大行列のお店は豚骨がベース。秦野では当時、札幌ラーメンは聞いた事がありましたが、豚骨ラーメンは聞いた事がありませんでした。となれば、豚骨しかない。豚骨の本場は九州。という単純極まりない発想で九州行きを決意しました。

 早速僕は、当時の唯一の財産であった車を売り、軽自動車に買い換えて、旅の資金を作りました。後部座席に詰め込めるだけの生活必需品を詰め込み、行き先は九州、手掛かりはガイドブックだけ。今考えれば、無謀にも程がありますが、それが僕のラーメン修行の旅の始まりだったのです。(次号に続く)

秦野から未来を創る会(古谷一郎事務所)

秦野市松原町1の4

TEL:0463-88-0735

https://ichiro16.jp/

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