横浜市はこのほど、土砂災害警戒情報をもとに避難勧告を発令する市内対象区域の見直しを実施。地質専門家の調査などを踏まえ、これまでの133カ所から52カ所に絞り込んだ。栄区は7カ所31世帯が対象となり、区では今後、対象世帯へ周知を行う予定だ。
市は死者2人を出した昨年10月の台風18号の直後地形図面を資料に、甚大な被害が発生する恐れがある崖地を緊急的に202カ所選定。同年11月末までに当該崖地に対し、人家の有無などを市職員が目視による現場調査を行い、結果133カ所に見直しをしていた。
今回、梅雨・台風シーズンを前にさらに精度を上げようと地質専門家の調査に加え、崖崩れが起こった場合、人家に人的被害を及ぼす恐れがある崖地との想定をし、133を24、県指定の土砂災害警戒区域内に存在する崖地約9800のうち、実際の発生率が高い、西・南・磯子各区に係る約1400カ所の中から28、計52カ所を抽出。市は今後2017年度までに全区の更新作業を行う予定だ。
情報伝達など課題も
今回の絞り込みにより、注意が必要な崖地は浮かび上がったが、実際に避難勧告が発令された際、避難ルート、夜間時の対応方法など、住民が適切な対応が取れるようにするには、なお、整備すべき課題も多い。
内閣府災害ボランティア活動検討会委員で、国際救急法研究所の宇田川規夫理事長によると、09年に兵庫県佐用町で用水路があふれ、夜間避難した住民が流され、死者18人、行方不明者2人を出した水害は、12人が避難行動中に命を落としたと予想されている。
宇田川理事長は「住民の半数は警報を聞いておらず、夜間のため自宅に留まった人も。行政の情報を参考に自身で避難のタイミングを計る必要もある」と語る。
市は、土砂災害発生ハザードマップの全戸配布などを通して啓発活動に力を入れている。「52カ所以外は安全ということではない。気象状況により避難勧告を出すので、情報に留意してほしい」と話す。
栄区は7カ所が対象
区内で避難勧告対象となる崖地を有する町と世帯数は、上郷町の2カ所(2世帯)、庄戸五丁目(3世帯)、公田町の2カ所(8世帯)、飯島町(8世帯)、小菅ケ谷三丁目(10世帯)。
区は、当該崖地世帯を有する自治会町内会と避難場所などについての意見交換を行い、上郷町(上郷町内会)は旧野七里小学校、庄戸五丁目(庄戸五丁目町会)は旧庄戸中学校(予定)、公田町(桂公田町会)は桂公田町内会館、飯島町(飯島町内会)は飯島町内会館、小菅ケ谷三丁目(小菅ケ谷第一町内会・小菅ケ谷西谷戸町内会)は本郷小学校を避難所として選定した。
また今回の調査対象以外の崖地については16年度に調査を実施。過去に崖崩れが発生した場所や急傾斜地崩壊危険区域に指定されている地区のうち、対策工事が完了していない箇所については調査が完了するまでの間、先の7カ所の崖地と同様の対応が取られるという。対象は長沼町(長沼町内会)、長尾台町(長尾台町内会)、笠間二丁目(笠間町内会)、笠間五丁目(笠間通り町町内会)の4カ所。避難場所などについては今夏に該当する各自治会町内会長と協議が行われる。
避難勧告の対象となる世帯への周知に関して現在、区総務課では対象世帯ごとにあわせた避難場所を明記したチラシを作成中。8月1日からポスティングなどで配布される予定だ。
問い合わせは同課【電話】045・894・8311。
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