優勝&防御率1位「完璧」に近い前期
「思い通りの前期だった」。電話口から聞こえた声には、その言葉以上に自信と充実感が溢れていた。
4月に開幕し全34試合を戦ったリーグ戦前期。伊藤投手の所属する徳島は活発な打線と、安定した守備で優勝した。今季トライアウトを経て入団した伊藤投手は、開幕から中継ぎの柱として大活躍。最速147Kmの速球を軸に12試合に登板し、先発の1勝を含む3勝1敗。防御率は脅威の1・09と、新人ながら防御率リーグトップの成績を残した。
「彗星の如く」現われた剛腕には注目が集まり、前期終了後にはリーグの選抜選手に選出。20日から3日間、都内の球場でプロ野球の2軍選手らで構成される選抜チームと対戦する機会を勝ち取った。当日は多くのスカウトが来場し、過去にはこの舞台を経て四国から「夢の舞台」へ上り詰めた選手も多い。伊藤投手は試合を前に「圧倒したいです」と息を荒げ、東京に乗り込んだ。
「50点」の出来も、刺激多く
四国から約10時間をかけてのバス移動。疲労の蓄積する中、3連戦が始まった。一球でも多く投げ、アピールしたいところだったが、第1戦は登板の機会がなく、第2戦は荒天中止。全てを第3戦に託した。
出番は9回表。8回裏に2点ビハインドの四国選抜が同点に追いついた直後。打線の勢いそのままに、チームを逆転に導く投球が求められた。「雰囲気がいつもと違い緊張していた」と話す伊藤投手は、先頭打者に対して自慢の速球を軸に攻めるも、ショートのエラーで出塁を許す。
その後送りバントで1死2塁とされるが、3人目にはこの日最速の138Kmを記録し、セカンドゴロに。「0封」目前の2死3塁。「狙われていた」と後悔する初球のスライダーが甘く入り、レフト前に弾き返され逆転を許す。ただ、その後は後続を抑え最小失点で切り抜けた。試合は特別に10回まで行われたが、スコアは動かず4対5で敗戦となった。
試合後「50点くらい」とうなだれながら自らの投球を振り返った。緊張もあり、球が思うように走らなかった。しかし、選抜に選ばれ、他球団の選手とも初めて交流し大きな刺激を受けた。7月末からは後期日程が始まる。落ち込んでいる暇はない。「いつでも挑戦者の気持ちで向かっていきます」。最後にそう語った目線は、しっかりと上を向いていた。
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