桑茶の持つ健康効果に着目し、相模原産の桑茶を市の目玉産業として、地域を活性させようと、相模原協同病院(橋本)の高野靖悟病院長が本格的な事業化に向けた研究会の立ち上げを呼びかけた。10月19日に開催された相模原商工会議所女性会主催の公開講演会で提言されたもので、同病院に加えて相模原商工会議所、JAの三者からなる組織が想定されている。高野氏は販売にも言及し、世界進出など将来的な展望も示した。
市産の桑の葉による桑茶は、商工会議所女性会の猪熊幸江前会長を中心とした組織が、かつて「養蚕のまち」として栄えた相模原市で再度桑茶事業を起こし地産地消を図るとともに「相模原からなくそう生活習慣病」をスローガンに2010年から事業を開始した。13年に商品化し、14年に県の「なでしこブランド」に選出。同年、日本商工会議所に取組みが評価され、最高賞の会頭賞を受賞。現在は「さがみの桑茶とうとるん」の商品名で販売されている。
講演会で高野氏は、生活習慣病によって介護が必要になる状況をなくすこと、さらには健康寿命を延ばすことの大切さをアピールし、桑茶にはカルシウムが豊富に含まれており、ベータカロチンの含有量もホウレンソウの10倍とされることなどを紹介。そのうえで、糖尿病の投薬処方を受けている人や高脂血症などがある人を対象にした臨床実験の結果を報告。26人中17人が血液中の糖を指すHbA1cが低下、総コレステロールは18人、中性脂肪は16人、悪玉コレステロールは15人が下がったとする結果が示された。
実験結果を受けて高野氏は、「副作用がゼロで、優れた健康食品」として桑茶を改めて推奨。県が推進する未病産業の創出で海外進出を図る取組みを挙げ、桑茶でのその実現の可能性について言及し、栽培、開発技術の向上に努めると同時に、耕作放棄地の掘り起こしによる雇用創出などが地域活性化に繋がる事業であることを強調した。
海外への発信も視野に
そこで、相模原からの桑茶の発信力を高める目的で同病院、商工会議所、JAの三者による「相模原市桑茶推進研究会」の立ち上げを呼びかけた。会によって桑茶を市の目玉産業に育て、3年後に移転する同病院での販売や試飲サービスで普及を促進する案を明かし、将来的には中国への輸出販売や、増加する中国人観光客を対象に特産品の食事を提供するとともに、検査や治療目的で観光するメディカルツーリズム(医療観光)での活用も視野に入れ、「どんどん輸出を促進できれば」とし、中国を中心とした世界への桑茶の発信に意欲を示した。
研究会の結成時期について高野氏は明言を避けたものの、女性会では近日中に商工会議所と協議し、立ち上げを検討していく方針だ。
桑茶についての詳細は商工会議所【電話】042・753・8135へ。
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