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町田版 公開:2017年11月23日 エリアトップへ

宮司の徒然 其の33 町田天満宮 宮司 池田泉

公開:2017年11月23日

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「ひさご」

 西遊記に登場する金角と銀角の件で、呼びかけて返事をするとたちまち吸い込まれてしまう瓢箪(ひょうたん)がある。これが実在したなら警察の特務機関で犯人逮捕に利用すれば手早くなるし、留置場もいらなくなるのではないか。それはさておき、そこに登場する瓢箪は 紅葫蘆(べにひさご)と呼ばれるもので、我々が瓢箪と呼んでいるツタ性植物の和名は瓢(ひさご)が正しい。瓢箪の「箪」は容器という意味で、ひさごを加工した容器を示す。大昔から実の外皮が硬いのを利用して、大きなものは水や酒の入れ物に、小さなものは薬味用にと作られてきた。作り方はまず棒を突っ込んで果肉を壊してから水に沈めて果肉を腐らせ中身を抜く。砂などを入れてシェイクして内壁をきれいにし、塗料を流し込んで内側をコーティング。外側も塗装してふたをつけて出来上がりという段取りだ。しかし、腐らせる過程はとても臭いから、最近では腐食させる薬品もあり、手早く加工できるようになったらしい。瓢箪は有毒植物だから果肉は食べない。しかし、下部が大きいからめでたいものとされてきた歴史があり、有名な例では秀吉の千成瓢箪などがある。一方、瓢箪の変種「夕顔」は実のくびれがなく、しわの多い小ぶりな花の瓢箪と違い、花は大きくて朝顔に似ている。最近は園芸にも使われているが、なんといっても乾瓢(かんぴょう)になったことがすごい。変異して毒成分までなくなり、加工して乾瓢という日本にはなくてはならない食材となった。

 容器としてだけではなく、模様を描いて飾り物にするなどの民芸品にもなり、研修旅行で宿泊した宿には、中に照明を仕込んでナイトライトばりのオブジェとして飾られていた。

 東京五輪も迫り、どんな国でもあるのだろうが、国際社会に見せたくない部分は瓢箪に閉じ込めてしまうのだろうか。ロケットマンのいる国は、裕福で華やかな部分しか見せない。あれほどではないにしろ、正直に汚点・欠点を見せることも必要なのではないだろうか。穴だらけにして中身も覗けるくらいのクリーンな国になってほしいが、前段階としてまず政治にそれを求めたい。
 

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