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公開日:2016.06.23

打越町森山さん
知育玩具で起業 「木製」開発
ユニークブロック 曲線も

  • アーツブロックと森山さん(手前の恐竜は約500ピース使用)

 子どもの頃に親しんだブロックが木製だったら?そんなユニークな発想でモノづくりをしている会社が打越町にある。知育玩具メーカーで企画・開発を手掛けてきた森山恵吾さん(61)が定年退職後の昨年3月に立ち上げた会社・サンモリッツアーツだ。その挑戦を追った。

 「知育玩具メーカーは市内でもおそらく唯一」。そう話すのは八王子商工会議所。製造業の盛んな八王子でも異色の会社だ。

 同社の「アーツブロック」は、ジョイント(接ぎ手)を使用することで、横方向にも造形でき曲線も表現できるのが特徴だ。横山町で60年以上にわたって玩具専門店を営む「みなもとや」の代表・内藤倫則さんは「通常、ブロックといえばプラスチック製。木で自由に組めるものは見たことがない。見た目にも柔らかくて優しさがある」と話す。

 社長の森山さんは、定年まで勤めたメーカーで100個以上の知育玩具を世に送り出してきた人物だ。定年後も延長雇用の道はあったが「後悔しないで済むはず」と起業を選んだ。妻と3人の子どもも背中を押してくれた。営業から経営計画の策定まで、現役時代以上のバイタリティでモノづくりに挑戦する。「木製だとコストがかかるので、会社勤めの頃なら企画は通らなかったかも」

 アーツブロックはすでに6つの幼稚園・保育園で導入されているほか、イベント時に渋谷ヒカリエ、新宿丸井本館での販売実績もある。実用新案を取得し、特許を出願中だという。商社との契約も決まり、100セットを納入する予定だ。

ひらめいたのは0・45ミリの突起

 アーツブロックの構想は比較的早い段階で考えついたというが、細部の試行錯誤は半年以上続いた。ジョイントも木製を想定していたが、湿度によって木のブロックが膨張して割れる恐れもあることからプラスチック製に。さらに丸型の突起を加えて固定することにした。突起の高さはわずか0・45ミリ。100分の1ミリ単位で調整を繰り返し、突起の数も試行錯誤しながらたどり着いたという。

面白い会社めざし

 今もどんどんアイデアが沸いてくるという。「こんなジョイントがあったらもっと面白いはず」。思いついたら自宅のガレージですぐに試作品づくりに取り掛かる。将来は定年退職者と一緒に仕事をする展望もある。「若手を育成するより社会人として完成している。人脈も期待できる」と、ここでもユニークな会社作りを目指す。「大きな会社でなくてもいい。『八王子の面白い会社』と呼ばれるようになりたい」

 なお、7月上旬からコニカミノルタサイエンスドーム(大横町)でアーツブロックの展示が予定されている。

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