大楠有志 被災地へ独自の支援活動 「ツアー」で実情知る
東日本大震災で発生した漁網の広域処理問題で揺れていた大楠地区で、若手有志組織「復興支援を考える会 大楠」が独自の支援活動を始める。初回は岩手県大槌町と釜石市を訪問するツアーを企画、明日18日(土)に出発する。同会代表の池田努さんは「この取り組みが風化抑止のきっかけになれば」と話している。
同会は大楠地区在住の10代〜60代の13人で構成され、被災地の声に耳を傾ける「草の根支援」と防災知識や情報を発信する「学び」を主軸に活動している。
発足のきっかけは、黒岩祐治神奈川県知事が震災がれきの受け入れを表明した一昨年12月。その後、地元では昨年末住民意向調査に基づき「漁網受け入れ反対」を示したが、その間放射能の安全性や協議内容について報道が過熱。誹謗中傷が相次ぎ、渦中にありながら置き去りにされた住民の立場が伝わりにくい社会に危機感を覚えたという。
一方で「被災地の声も同じように全国に届いていないのでは」とも感じた。例えば時間とともにボランティアが激減していること、自殺者数が増加していることなど現状を知る機会はほとんどない。そこで「今、被災地が必要としていることは何か」に焦点を絞り、不足や課題を被災者に語ってもらうことで初めて活きた支援を行うことができるのではと考えた。メンバーは自分の目と耳で直接ヒアリングするため今年2月に岩手県を訪問。津波被害にあった旅館の女将や高校生、商店主らとの会話の中で「物見遊山でもいいから一度遊びに来てほしい」という多くの切実な意見を聞いた。「漁網受け入れ拒否の代替支援案は観光で?」という周囲の批判も想定するが、これが被災地の声でもあり、地域の自立復興に向けた欠かせない支援であるとメンバーは感じている。
観光で被災地応援
震災発生から2年が経過し、復興支援の在り方を改めて考える契機を提供したいと被災地を巡るバスツアーを企画。主に大楠地区に住む大学生〜80代の20余名が参加する。ツアーでは津波の爪痕が残る街を地元ボランティアによるガイドや仮設商店街で食事、買い物をする。池田さんは「肩肘張らない気軽な観光プランにあえて仕立てた。楽しむ過程で何かひとつ感じてもらうことができたなら間接的でも復興の足掛かりになり得る」と話す。今後は「学び」のための講演会などを企画し震災の記憶を風化抑止の取り組みを行う。
漁網問題どうなった?
漁網処理をめぐり4月に箱根町が100トン、今月10日には南足柄市が100〜200トンの受け入れを表明。現在、地元住民への理解を求め説明会を開くなど調整している。仮に2自治体が最大量受け入れると、国から県に要請のあった300トン全ての処理が完了するが、県担当者は「横須賀での処理については、箱根と南足柄の動きを見ながら検討したい」と話している。
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