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公開日:2025.12.19

フリー校利用者へ補助広がる
県が今年度から支援制度

 不登校になる児童・生徒の増加を受けて、民間団体や個人が運営する「フリースクール」に通う子どもが増えている。一方で公立学校などに比べて保護者の経済的な負担が大きいことから、授業料の一部を補助する制度を設ける自治体も現れている。神奈川県も今年度から、こうした市町村を財政的に支援する仕組みをスタートさせた。

増加続く不登校

 文部科学省の調査によると2024年度、全国の小・中学校の不登校児童・生徒の数は35万3970人で、過去最多を更新した。10月29日に県が発表した「令和6年度神奈川県児童・生徒の問題行動・不登校調査」でも、昨年度の不登校児童・生徒数は公立小・中学校合計で2万4250人に上り、昨年度より621人増加している。

 こうしたなか、新しい学びの場として注目されているのがフリースクールだ。はっきりとした定義はないものの、文科省のホームページでは「不登校の子どもに対し、学習活動、教育相談、体験活動などの活動を行っている民間の施設」とされている。県内では神奈川県学校・フリースクール等連携協議会と連携している団体だけでも35カ所にのぼる。

 一方で民間が運営するため、公立学校などと比較すると保護者の経済的な負担は大きい。15年に文部科学省が行った調査によれば月額利用料(授業料)の平均は約3万3千円。1〜5万円程度の施設が多いとされる。

 コロナ禍中に小学生だった子どもが不登校になりフリースクールを利用したある保護者は「経済的負担もそうだが、送迎などが必要となって仕事を続けられなくなるなど、生活への影響は大きい」と話す。

3市で補助制度

 独自に保護者を支援する自治体も増えている。鎌倉市は23年9月、フリースクールの授業料等の一部を補助する制度を導入。その後、海老名市が24年7月、相模原市も今年10月から同様の仕組みを始めている。

 こうした状況を受けて県は今年度、「神奈川県フリースクール等利用児童・生徒支援事業補助金」を創設した。

 制度の最大の特徴は、フリースクール等に通う児童生徒の保護者を支援する事業を実施する「市町村」に対して県が財政補助を行うこと。

 県担当者は「保護者や児童生徒により身近な市町村を支援することで、地域の実情に応じた支援ができる」とし、今年度は260人分3120万円の予算を確保した。

横須賀は生活困窮世帯に限定

 横須賀市の調査では、市の小・中学校における24年度の不登校児童生徒数は100人あたり約5・5人。年々増加傾向にあり、県や全国の平均より約1・6人上回る。

 市は生活困窮者支援の一環として、「横須賀市フリースクール学習支援事業」を実施。具体的には、病気や芸能活動等以外の理由で30日以上小・中学校を休む児童生徒のうち、就学援助費受給世帯に限定し、フリースクール利用料を支援している。こうした世帯以外への支援については、「他市町の状況もみながら検討中」という。

 一方、市では不登校の児童生徒の受け皿として、汐入小学校や武山中学校など市内5つの小中学校内に「相談教室」を設置。絵画や工作などを行う「個別の時間」、楽器演奏などを学ぶ「集団の時間」を通じて自己肯定感や他者との信頼関係を育むことで、社会的自立を支援している。

 三浦市では、フリースクールの授業料等の補助は行っていないが、さまざまな要因で通学できなくなった児童・生徒の支援を目的とした「相談指導教室」を設置している。学校と連携しながら相談や支援を行う場で、専任教員のもとで個別学習が受けられるほか、居場所としての役割も果たしているという。

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