大庭のレコーディングスタジオ「イニックレコーディングホステリー」が今年7月末、26年の歴史に幕を閉じた。閉鎖から1カ月半、かつては数々の名曲が響き渡ったスタジオ内は人気もなく、静寂に包まれている。
同スタジオは金子小一郎元藤沢市長の孫で、ピアノ講師をしていた金子むつみさんが26年前、演奏練習や発表の場として設立を計画。当時の大庭地区はまだ住宅も少なく、「藤沢の北部も注目される文化拠点を創りたい」という思いから、約5億円の私財を投じて作り上げた。
スタジオの建物延べ床面積は約800平方メートル。楽器演奏などを行うライブエリアのほか、コンソールという音響機材を有するコントロールルーム、ミュージシャン用の宿泊ルームも備えている。プロの間でも音響に定評があり、これまでの利用者名簿にはサザンオールスターズや葉加瀬太郎、LUNA SEA、東京スカパラダイスオーケストラといったビッグネームが名を連ねる。リピーターも多く、業界の繁忙期という2月と6月は60日間全ての予約が埋まることもあったなど、支持を得ていた。
近年は音楽業界を取り巻く環境が厳しくなり、ミュージシャンの予算が削られ、スタジオ利用者は減っていった。維持管理費などが年々かさみ、金子さんはこのスタジオを手放さざるを得なくなった。
現在は買い手を探しており、取り壊しも検討されているという。
閉鎖を機に新潟県へ移住した金子さんは「今でも施設としては一流。地元の方から惜しむ声もあり、できることならスタジオの形で残してほしい」と話す。また「幅広い年代に愛され、気持ちをいつまでも若く保てる音楽。そんな音楽を藤沢で絶やさず後世に残していきたいという方に是非受け継いでほしい」と訴えた。
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