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公開日:2013.07.04

インタビュー
最後の夏、熱く
桐蔭野球・土屋監督が勇退

  • 意気込みを語る土屋監督

 桐蔭学園高校硬式野球部を春夏計10回、甲子園に導いた土屋恵三郎監督が、今夏限りの引退を表明した。選手時代も含め、同校の甲子園出場にすべて貢献している。”名門・桐蔭”を築きあげた名将にインタビューを行った。



 ―引退を決意した理由は



 監督として30年、また自分も今年60歳になる区切りの年。いつか終わりが来ることを考えて、この節目に決断をしました。



 ―『桐蔭野球』を築いた指導について教えて下さい



 「基本に忠実であれ」。シニアや中学で経験を積んだ子でもキャッチボールから徹底します。就任当初、夏に初戦敗退をしたチームに、キャッチボールから教えました。直後の秋大会で関東優勝、春の選抜(甲子園)出場を果たすと「監督、何で出場できたのでしょう」なんていう子もいました。今、OBで大学や社会人、プロで活躍する子もみんな基本から学んでいます。



 ―就任して変えたことは



 就任して2年目に野球部を全寮制にしました。同じ釜の飯を食べて、みんなが同じ方向を向くことが必要だからです。私も2年前までは同じ寮で生活していました。正月もすべて毎日練習。野球部はひとつの大きな家族です。



 ―生活面ではどの様な指導を



 「自分のことは、自分でやる」。自分らで洗濯機を回す、食事の用意をすることで自立や率先することを覚えます。試合中、バッターボックスやマウンドでは常に一人。誰も助けてくれません。頼れるのは自分。それは、野球だけではなく、社会も同じです。



 ―2007年から2年弱、監督を離れていますが



 社会人野球、少年野球の指導やドイツ桐蔭学園(現在閉校)の学生寮で生活指導をしていました。いろんな野球を見て、改めて、高校野球のトーナメントの厳しさを実感しました。



 ―指導や心境に変化はありましたか



 戻った時は、新たに高校野球に挑戦する気持ちでした。『俺についてこい』という指導から『子どもたち主導』に変化したと感じます。主将や副主将に意見を聞くようになると、子どもらのいい所や悪い所が見え、個人の特徴がつかめてきました。私は子どもたちに『オーラ放て』と言っています。オーラのある人は明るさ・やる気・辛抱強さを備えている。バッターボックスで、マウンドで、社会で輝きを放つ人間に。野球を通じて、そのことを伝えたいと改めて思いました。



 ―最後の夏に向け、意気込みをお願いします



 神奈川で育ち、野球をし、指導をしてきた集大成。振り返ると人生を桐蔭とともに過ごしてきました。最後にもう一度甲子園に行きたい、今の3年生と1日でも長くユニフォームを着ていたい、熱い夏にしたいです。

 

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