コラム「学校と社会をつなぎ直す」【4】 コロナ苦難を乗り越えた先の学校は 桐蔭学園理事長 溝上慎一
連載【2】で述べたように、近年の学校改革が目指すものは、情報化・グローバル化社会、AI等の変わる社会の中で力強く生きる子どもたちを育てることである。子どもに知識を習得させ、かつ問題解決力を身につけさせなければならない。残念ながら基礎知識が十分に身につけられない子どもは多く、教員の考え方は、基礎知識を習得後に問題解決に取り組ませるか、不十分でも基礎知識の習得と並行して問題解決に取り組ませるかに二分している。とくに中学、高校では多くの教員は前者の考え方を取っており、改革にブレーキをかけている。
いま教員はコロナ問題を受けて、子どもの命を守りつつも、子どもの学習や発達に対する責務を果たすべく懸命の努力をしている。この非常時における教員同士の連携やICTを利活用して子どもたちの学習を促す取り組みには未来が見える。これまでICTを忌避していた教員がICT利活用を学んでいる。「対面授業に近い動画授業を作成するのではなく、対面授業ではできないことを目指して、やがて戻る対面授業に繋げよう」、そんな発言も耳にした。
4月より新学習指導要領が実施された。コロナ問題は、文科省が「予測困難な社会の到来」と呼んだものかもしれない。今回の苦難を乗り越え、教員の経験が、変わる社会に向けた意識改革にもなることを願っている。予測困難な社会で生きる子どもたちの力を育てる学校教育でありたい。
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