「シュウマイ=横浜」と思う人も多いのでは?近年専門店の出現やメディア露出も増え「2021年は本格的にブームがくる」と予想する横浜国大出身のシュウマイジャーナリスト&研究家・シュウマイ潤さん(本名/種藤潤・43)。その知られざる魅力やトレンドなど、シュウマイの本拠地(?!)横浜で語ってもらった。(取材場所・横浜中華街「招福門」)
崎陽軒の存在もあり、ハマっ子の食生活に欠かせないシュウマイ(※崎陽軒はシウマイ)。総務省の家計調査(2016〜18年)を見ても、横浜市のシュウマイの年間消費額は全国平均の約2・5倍(2623円)と断トツトップだという。
茅ヶ崎市出身の潤さんにとってもそれは同じ。「母親に言うと『手作りした』って怒られますが(笑)、シュウマイといえば崎陽軒のインパクトが強かった」。「シュウマイ=横浜」のイメージも、崎陽軒に由来するものだ。しかしふと食べたくなった時、美味しい店を求めてネットで探したが情報がほとんどなく「知らない人がいない料理なのに…餃子と比べて扱いが悪い」と感じたという。「専門家もいない。誰もやってないなら自分がやろう」。探究心に火がついた。2015年頃から研究を始め、全国津々浦々、食べ歩いたシュウマイは400店700種類以上に及ぶ。
実は万能なメニュー
「シュウマイが嫌い、という人はあまり聞いたことないでしょ?かといって、『一番好きな食べ物がシュウマイ』という人もなかなかいない」と笑う。一方でその魅力については「油を使わずヘルシー、重たくないのに食べ応えがある」「おかずや弁当、お酒のつまみ、子どものおやつなど、個数も自在で幅広いシーンで楽しめる」などを挙げ「実はものすごくポテンシャルの高い料理なんです」と力説する。
特にコロナ禍で手軽に食べられる一品として、冷凍食品や惣菜売場でシュウマイのニーズも急増した。自宅で食べる時には「手作りや冷凍食品であっても、せいろで蒸すのがおすすめ。味が断然違います」と潤さん。またビールやレモンサワーに合うマヨポン酢、日本酒や焼酎に合う柚子胡椒やわさび醤油など、お酒とのマリアージュやタレアレンジも楽しんで欲しいという。最近イチ推しの食べ方は「あんかけ系の料理と一緒に注文し、そのあんをタレにして食べること。アレンジの幅が広いのもシュウマイの魅力の一つです」
横浜から全国へ
潤さんは「シュウマイの歴史については研究途中」としつつ、独自の視点で日本のシュウマイのトレンドを振り返り、お笑いブームさながら「今は第7世代」と位置づける。開国と共に日本の食文化になかったシュウマイが海外から初上陸した時代を第1世代とし、中華料理店が誕生した第2世代でシュウマイが定着。「『清風楼』や崎陽軒のシウマイの元祖である『順海閣』など、中華街の老舗店がその発展に大きく関わっているといっても過言ではありません」
第2世代はまだ大陸の文化が色濃く残った本場感溢れるシュウマイだったが、第3世代で日本人にも合うようにアレンジ。その象徴が崎陽軒のシウマイだ。その人気と共に、シュウマイという料理が一気に全国へ普及し始めた。第4世代では、町中華の確立と共に定食文化に溶け込む和シュウマイが定着。1964年の東京五輪を機に冷凍食品が拡大、家や弁当で気軽に食べられるようになった第5世代。シュウマイのアイコン、グリンピースが乗った冷凍シュウマイが登場したのもこの頃。
その後佐賀県呼子の「イカシュウマイ」など地域の食材を生かしたご当地モノが出てきた第6世代、そして現在の第7世代では、フレンチシェフが作るワインに合うシュウマイ、蒸しだけでなく揚げ・焼き・スープにするなど、超個性派のシュウマイ専門店が続々と登場。「新しい食のマーケットになりつつあります」と今後の広がりに期待する。
2月26日は「シュウマイの日」
昨年6月には「日本シュウマイ協会」のサイトを立ち上げ、協会としての活動も本格化。「賛同してくれる人や企業、団体などと一緒にシュウマイ文化を盛り上げていきたい」と意気込む。
潤さんと共に初期から活動を支える「招福門」常務執行役の北村徹さんも「シュウマイの食べ歩きを絡めて、中華街の歴史も知ってもらえるような街歩きイベントを実現できたら」と話す。
2月26日(つつむ)をシュウマイの日に制定し、国民に広くアピールしたい考えだ。「全てを優しく包み込んでくれるシュウマイ。コロナ禍で明るい話題を提供し、世の中を元気にできたら」。潤さんの“シュウ活”はまだまだ始まったばかりだ。
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