奈良の丘小学校で農業指導を20年間続け、教育委員会表彰を受けた 鈴木 清一さん 恩田町在住 69歳
人も野菜も十人十色
○…サツマイモや枝豆、大根、里芋作りに、バケツを田んぼに見立てるバケツ稲。地元の農家として、奈良の丘小学校で2年生の畑作と5年生の稲作指導を2001年の開校以来続けてきた。新型コロナウイルスの影響から、例年のように収穫物で豚汁やおにぎりを作って一緒に食べることはできなかったが「家に持ち帰り家族で食べ方を考えてもらえたら」。児童たちから寄せられた手紙を嬉しそうに眺める。
○…恩田町で花の生産に長年従事。現在は父母から継いだ農地で無農薬野菜などを育てる。多品種栽培で、ジャガイモだけでも年5、6種。野菜は全て弟の友春さんと自分の名から1字ずつとった「鈴木清友農園」で直売し、親族で生産・加工・販売まで手がける。同校との関わりは、母が近隣の田奈小学校で草履作りを教えていたことで、声を掛けられたのが始まり。かつて教えた児童は親世代となり「今の子どもたちは孫のよう」と目を細める。
○…「当時の先生が『自分で工夫し、良いと思ったことはやりなさい』という人でね」。そんな教師との出会いもあり、高校時代は苗の培養を研究して表彰されただけでなく、NHK杯全国高校放送コンテストで全国2位、翌年3位になったことも。卒業後も自分の代で初めて花卉栽培を始め、花の生産から温室の配管整備までこなしてきた。
○…「本来、野菜は大きさも色もばらばら。人間と同じだよ」。そんな言葉は、周りと比較しては悩んでいる子どもたちにも響いているようだ。後継者不足や農地の細分化、さらには地球温暖化など、農業を取り巻く状況には危機感も大きいが、幼い頃からの野菜や米作りの体験を通じて「農業がもっと身近な存在になれば」と願う。
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