コラム「学校と社会をつなぎ直す」【14】 子どもの学びとウェルビーイング 桐蔭学園理事長 溝上慎一
アクティブ・ラーニング、探究、個別最適・協働的な学び、GIGAスクール構想、教育のデジタル化など、学校教育における新しい学びが次々に提唱されている。教師が正解とされる知識を上から教え込むのではなく、子どもが自分の頭で知識を理解し、疑問を持ち、自らの知識世界を構築していくことが求められている。新しい学びが様々な側面から提唱されていても、ポイントはそういうことである。
ポストコロナも見据えて学校教育の今後の取り組みを検討する内閣府の教育再生実行会議では、子どもたちの学びの最終目標を「ウェルビーイング」に置く提言でまとめる方向だ。ウェルビーイング(well-being)は「幸福感」と訳されることが多いが、もっと含蓄のある言葉である。ポイントは「存在」「状態」と訳されるbeingをより良いもの(well)にしていこうということである。提言では、個人の多様な幸せ(より良い状態)を追求するとともに、社会全体の幸せ(より良い状態)まで考えられる子どもを育てたいとしている。
戦後の経済的な豊かさを目標とした教育観から脱却し、一人ひとりの個性を充実させ、それでいて社会への関心を持ち、人々との協働にも喜んで取り組む子どもを育成したい。そして新しい時代への挑戦を子どもだけに押しつけるのではなく、大人自身もウェルビーイングの実現に取り組み、これからの日本全体の方向性として捉えたい。
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