青葉区市ケ尾町のテンブレイン(株)が、市内産の浜なしを100%使用したスパークリングワインを製造し、このほど完成した。味は問題ないが、規格外で出荷できない浜なしを有効活用したもので、同社の高橋栄治郎取締役は「農家支援とともに、新しい横浜ブランド商品として認知度を上げていけたら」と話している。
元々、横浜のブランド果実である浜なしのファンだった高橋取締役が「ワインの原材料に使ったらおいしいのでは」と思い立ったのがきっかけ。2020年に高橋取締役の親戚で、港北区で農家を営む田中勝哉さんの協力を得ながら試作を開始したが、その過程で規格外で廃棄せざるを得ない浜なしが大量にあることを知ったという。廃棄するといっても甘味に問題はなく、果肉が柔らかくなり食感が変わっただけ。高橋取締役は「原材料として仕入れられれば農家の収益にもなる」と思い付いたと話す。
3割近く廃棄の年も
そして21年、田中さんら港北区内の4農家から規格外の浜なし「豊水」を320kg分買い取り、長野県の醸造所で生産。協力農家の1人は「豊水」について、冷夏や長雨、日照不足などで年によっては3割近くが廃棄となる現状を説明。特に最近は地球温暖化の影響か、規格外となる数も増えていると話す。「今まで一生懸命育てた浜なしを捨ててしまうのは忍びなかった。出荷できれば農家としても廃棄の手間が減り、収入となる。ありがたい」と歓迎の様子だ。
今回、出来上がったスパークリングワインは甘口・辛口の2種類で、フルボトル換算で240本分。原材料由来の成分でうっすらピンクに色づき、さっぱりとした甘みが感じられる味に仕上がったという。
今回はすべて港北区産の浜なしを使用したため、「浜なし Sparkling Wine 2021 こうほく」と命名。今年の生産分は少量ということで、一般販売の予定はないが、一部は地元食材にこだわりを持つ飲食店向けに出荷予定だ。
高橋取締役は「浜なしのブランド価値を高める商品として、今後はさらに他の農家やJA横浜に協力を依頼し、取扱高を増やしていきたい。特に青葉区は昔から栽培が盛んな地域。区内産の浜なし100%のスパークリングワインも作れたら」と話し、「将来的には市内のお祝い事に使われるくらい認知度を高めたい」と目標を語る。
農福連携も視野に
一方、高橋取締役は特別養護老人ホームや地域ケアプラザを運営している社会福祉法人「中川徳生会」の理事長でもあり、今後の構想として「農福連携」を掲げる。例えば、市内に醸造所を作り、そこが障害者の雇用の場となり、さまざまな役割を持って働く姿を想定している。高橋取締役は「SDGsの観点を持ちながら、『浜なしスパークリングワイン』を生産し、地域の活性化に今後寄与できれば」と思い描いている。
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