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青葉区 人物風土記

公開日:2023.08.31

寺家町で上映されたドキュメンタリー映画「長崎の郵便配達」の監督を務めた
川瀬 美香さん
神奈川県在住 

忘れていたものを紡ぐ

 ○…ドキュメンタリー映画「紫」「あめつちの日々」「長崎の郵便配達」で監督を務め自らカメラを回した。台本はなく、ナレーションを一切入れずに美しい映像と登場する人たちの言葉と音楽だけで制作する。「なるべく彼らの言葉を消さないように」。今夏、寺家町にあるジケハウスで3作が同時上映された。

 ○…寺家町の自然に惹かれ、縁あって1作目から上映会を行ってきた。6年かけ完成した「長崎の郵便配達」。故・元英空軍タウンゼンド大佐と生涯をかけて核廃絶を世界に訴え続けた長崎の被爆者・谷口稜曄さんの交流の足跡を娘で女優のイザベルさんが紐解いていく。原爆という題材だけに覚悟が中々決まらなかったが、谷口さんやイザベルさんの思いを受けて制作を決意した。しかし、その矢先に谷口さんが帰らぬ人に。一時は中断しかけたが、奇跡的にタウンゼンドさんの取材テープが見つかるなど天にいる2人に背中を押されるような形で完成。「戦争を知らない世代に継承していく。素直な気持ちで見てもらえたら」

 ○…野山を駆けまわり、映画館や博物館に通い詰めた好奇心旺盛な幼少期は「見たいもので大忙しだった」と笑う。大学卒業後は広告制作会社、米ブロードキャストを経て独立。撮る題材が決まっていた訳ではないが惹かれるがままに映画化してきたのが染織史家の吉岡幸雄さんや読谷山焼北窯の松田米司さんなど日本の伝統文化を継承する人たちだった。

 ○…「本筋を見抜くことが必要な時代」。日本の伝統を撮って何が良いのと言われることもあったが「皆が忘れてしまっているもの」に光を当てる。制作には一切妥協を許さず「好きなものと向き合い、諦めず続けていく。1つの作品を10年は上映していきたい」。

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