2025横浜市長選 検証・山中市政の4年〈中〉 データを用いた政策運営 市全体での浸透に課題も
横浜市長選挙(7月20日告示、8月3日投開票)まで約1カ月。現職の山中竹春市長のほか複数人が出馬する予定で、4年間の山中市政の評価が争点となる。4年間を振り返り、市政の課題を3回にわたり探る連載2回目は「データを用いた政策運営」について。
横浜市立大学大学院データサイエンス研究科長などを務め、2021年の市長選では「データに基づく政策」を主張していた山中氏。就任後はデータに基づいた政策推進や専門部署設立に取り組んできた。
学習状況を把握
データを用いた施策の1つが、昨年6月に運用を開始した「横浜 St☆dy Navi(よこはまスタディナビ)」。小・中学校などで学習理解や授業改善などを図るため、学力・学習調査の結果や授業アンケート、健康観察などの情報を収集。その情報を分析・解釈し、児童・生徒、教職員に活用方法を提案する。
その一環として、一部の学校で試験運用が始まった、自身の心の状態を可視化する「こころの温度計」。使った児童・生徒からは「自分の状況を把握し、頑張ろうと思える」という感想があった一方、「何が理由でその数値になったかわからない」という意見も挙がった。
財政健全化にも活用
他に挙げられるのが、昨年4月に立ち上げられたデータに基づき課題解決や意思決定する「データドリブンプロジェクト(DDP)」。今後見込まれる税収減により、市の歳入と歳出の差額が拡大する見通しであることを背景に、施策の質向上と事業の創造・転換を進めて歳出改革などに取り組むことが目的だ。
税収だけで歳出をまかなえず、積立金にあたる「減債基金」に依存している現状から段階的に脱却し、2030年に同使用額ゼロを目指す。DDP担当者は「目標達成に向けて着実に進めている最中」と話す。
昨年度は施策群を46に分け、子育て・高齢者支援や文化芸術など5つの施策群の評価を進めた。今年度は施策群のうち17事業に着手し、事業転換による歳出削減などで7億円の財源を確保した。
DDPは施策を所管する部長をリーダーに、事業の所管部署が主体となり施策評価に取り組む。市職員のデータ活用への理解が必要だが、これまで施策担当者の経験則や感覚に依るところが大きかったという。同担当者は「客観的な施策評価を浸透させる必要がある。データ分析・可視化の支援を通し、意識改革を進めたい」と語った。
今後、市全体でデータ活用への理解を進められるかがカギとなる。
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