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緑区 人物風土記

公開日:2019.09.26

黒板アートの指導にあたっている
末棟(すえむね) 小百合(さゆり)さん
白山高校美術科教諭 45歳

生徒の可能性を信じて

 ○…教諭になりたての頃、授業の板書にチョークでイラストを描いた。「文字だけじゃ分かりにくい。授業を分かりやすく、伝えたかった」と振り返る。いつしか、黒板に絵を描くことに心が躍るように。前任の高校で美術部員に呼びかけ、本格的に黒板アートの指導を始めた。テレビでも取り上げられるなど話題となった。「身近で親しみやすい黒板アートの魅力を多くの人に知ってもらえたら」とほほえむ。

 ○…3歳から絵画教室に通っていた。自分の描いた絵で周りの人が喜んでくれるのが嬉しかった。だが、美術科のある高校に進学すると、周りは絵の上手い人ばかりで一時は自信を失っていた。それでも努力を続けていると、次第に周りからも認められるように。「努力は裏切らない」と実感したという。そんな自身の体験も生徒に伝えている。

 ○…20代は、出版社などで編集者として活躍。ゴルフ雑誌を作るために、海外に取材に出かけたことも数知れず。30歳を過ぎ、世界で活躍する若い選手たちを取材していると、「美術の分野でも次世代を担っていく人材を育てたい」と思い立ち、教諭の道へ進む。誰一人欠けても完成しないのが黒板アート。チームプレーの大切さを日々伝えている。「人生で仲間とこんなにも何かに打ち込んだのは初めて」。そんな生徒の言葉を聞くと、思わず笑みがこぼれる。

 ○…朝から晩まで付きっきりで指導にあたっている分、黒板アートの大会後には、生徒と一緒に感極まって涙を見せる場面も。生徒からプレゼントされた手紙には、厳しい指導と優しさに溢れた日々への感謝の言葉がずらりと並ぶ。今後は、「学校だけでなく、地域でも老若男女が黒板アートに親しめる場を生徒と一緒に作ってみたい」とまだまだ夢は尽きない。

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