港北区 社会
公開日:2026.09.14
新吉田東・坂田さん宅 掘った災害用井戸で共助 阪神・淡路きっかけに整備
大規模災害時の断水で深刻となるのが、トイレや清掃に用いる「生活用水」の確保。横浜市は阪神・淡路大震災を機に1996年から「災害応急用井戸」の指定制度を開始し、港北区内には個人宅など57件(8月末時点)が登録されている。
新吉田東の坂田三郎さん(92)の自宅にも、有事に地域住民へ開放する「災害応急用井戸」がある。停電時も水を汲み上げられる手動ポンプを備え、日頃の備えと共助の精神を今に伝えている。
被災地での教訓を形に
設置のきっかけは95年の阪神・淡路大震災だった。当時、兵庫県内の避難所でトイレ清掃のボランティアに入った坂田さんは、水が出ず衛生環境の悪化に苦しむ被災者の姿を目の当たりにした。「店や土地があるなら井戸を掘りなさい」と現地で勧められ、横浜へ戻った直後に地下13メートルまで掘削。非常用トイレなどとともに配備した。
「お互い様」感謝の心で
「お酒のアトリエ吉祥」などを運営する「よつやグループ」創業者で現在は会長を務める坂田さん。新吉田本店で20年以上勤務する佐藤亜矢子さん(53)は、「会長は日頃から『ご近所様のおかげで店を続けられている。有事には役に立ちたい』と話す父のような存在」と語る。震災時に店舗責任者が店の対応に追われる際も、近隣に住むスタッフらが会長宅へ駆けつけて水を配る段取りが整えられている。「商売ができたのは地域のおかげ。困ったときはお互い様」と坂田さんは穏やかに話す。
自発的な助け合いへ
市医療局健康安全部生活衛生課は「自主的な協力を地域の助け合いにつなげることが目的」としつつ、「飲用や入浴など口に入る用途は避け、トイレの流し水や清掃など生活用水として役立ててほしい」と呼び掛ける。災害への備えが求められる今、身近な共助の仕組みを再確認したい。
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