第10回東京砧花き品評会「洋ランの部」で、農林水産大臣鹿野道彦賞を受賞した 加藤 悟さん 折本町在住 49歳
「今は80点、まだまだ上を」
○…全国有数の鉢物に特化した卸売り市場として知られる東京砧花きの品評会。全国から出品された100点以上の中で、トップになった。受賞の重みを「20年間強く思い続けてきた賞」と表現する。嬉しそうに笑うと、目じりに優しいシワができた。熱い思いを抱き、年間12000鉢ものシンビジュームを育てる。最盛期の12月には、朝7時にハウスに入り、そのまま一日が終わってしまうことも珍しくない。この賞はひたむきな20年の積み重ねだ。
○…こだわりは半端じゃない。プロが買い付ける市場で大切なのは、”そこにあるだけで人を魅了できる商品”。それを目標に6年前から胡蝶蘭のように、花茎を曲げるアーチ型を始めた。県内でも珍しく”匠の領域”と評されることも。一つ一つはまるで”作品”のようだ。また配送も業者ではなく、衝撃を吸収する素材を使った自社のトラックとスタッフで行う。これも”丹精込めて育てた花をそのままの状態で届けたい”という思いの表れ。「単純だけど、キレイって感動してもらえるのが嬉しい」とハニカム。
○…奥さんと2人の娘には「『花命』の親父と思われているんじゃないかなぁ」と笑った。しかしハウスから出ると、息着く暇なく、消防団の班長や農協の都田地区の花き部長など大忙し。自分では「家族を犠牲にしている」と言うが、娘とは友達のように仲が良い。次女の引越しの際は、夜遅くでも駆け回るなど、実は子煩悩というウワサも。
○…シンビジュームは出荷できるまで3年がかり。「長いように見えるけど、あっという間。3年間じっくり手をかけて、初めて満足できるものが生まれる。長いからこそ楽しい」。目指していた賞を手にした今、目標は更に高くなった。「自分の中ではまだ80点。まだまだ上を目指さなきゃいけない」と貪欲だ。周りの評価ではなく、これからは自分自身の評価で、終わりのない、高みを目指していく。
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