発達障害を理解してほしい―。この障害を抱える下地亜莉栖(ありす)さん(32・区内在住)は区内の教会に勤務する傍ら、発達障害当事者の会「てくてく会」を立ち上げ、当事者同士で悩みを共有しあえる場を用意している。月に4回、仲町台のコミュニティカフェ「いのちの木」で開催。1月28日には、同障害への理解を深めてもらおうと、同所で地域住民や福祉施設職員ら13人に講演を行った。
「みんなが笑っているところで、私だけが笑えない。何で周りが笑っているのかわからない」
周囲とコミュニケーションがうまく取れず、「宇宙人」と呼ばれるなど「変人」扱いされたこともあったという。自分は周りと少し違うと自覚し始めたのは14歳の頃。「自分は頭が悪い。人の気持ちがわからないなんてなんて心が冷たいやつなんだ」。自分を責めて、1人で部屋に閉じこもり、泣いた日も多かった。
下地さんはアメリカのフロリダ生まれ。21歳でキリスト教の宣教師として来日した。25歳で広汎性発達障害のアスペルガー症候群と診断を受ける。
同障害は、コミュニケーション能力や社会性に関連した、生まれつきの脳機能障害の総称。アスペルガー症候群の特徴は、幼児期に言葉の遅れがないため、成長とともに不器用さが出ることがあり、成人してから発覚することも多い。社会になじめず会社を辞めて引きこもってしまうケースもあるという。「できることとできないことの差が生活の中で非常に大きかった理由がやっとわかった」と、自分を責めるのをやめた。
「この障害のことを社会に広く知ってもらい理解してほしい。『自分は他とは違う』と悩んでいる人には自分を責めないでほしい。私は障害と分かって気持ちが楽になったから」
17歳の娘がアスペルガー症候群と診断され、講演に参加していた女性は「(娘の状態が)亜莉栖さんの話にぴったり。娘は全然話してくれないので、どんな気持ちなのかもわからなかった。亜莉栖さんの話を聞いて少し腑に落ちました」と話す。
発達障害の幼児を対象にした福祉施設に勤務する阿部純一さん(33)は「当事者が伝えることが大事だと思います。話がリアルだから、聞いている人も発達障害について理解しやすかったのでないか」と話していた。
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