2011かながわ技能フェスティバル(第43回技能コンクール)が10月29日、パシフィコ横浜で開催され、13職種の競技が行われた。紳士注文服部門で田中利明さん(69)が優勝となる県知事賞を受賞した。
同部門は裁断とキリビツケ(生地に糸で点線のように手縫いする)の済んだものに芯据え、衿付け、袖付けをする「ジャケットの仮縫」で競われた。審査基準は前後横のシルエットがいかに体にフィットしているかなどで、3人の審査員が採点した点数の合計で順位が決まった。
競技時間は4時間。田中さんは「他人の様子など、よそ見せずに集中した」結果が功を奏した。
「私たちの業界は賞やコンクールがなくなり、ファッションショーも少なくなっている。仕事が好きで家でコツコツとやってきた甲斐があった」と受賞を喜ぶ田中さんは、タナカテーラーの2代目。戸塚区矢部町で長年商売し、「本当にこだわる」顧客相手に紳士注文服を作り続けてきた。戸塚駅周辺の区画整理を機に、07年から現在の中田東を拠点にしている。
紳士注文服づくりの技術を会得するには「最低10年かかる」こともあり、全国的に後継者が不足している。1着作るのに半月以上かかるため「お金にならない」というが、「好きじゃないとできない。いまでも楽しいし、やめられない」と目を細めた。
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