1月9日の昼過ぎ、区内にサイレンが鳴り響いた――。集団強姦(ごうかん)などの疑いで逮捕された容疑者が横浜地検川崎支部から逃走した事件は、泉区での逮捕劇となった。三家地区の和泉川付近で捜査員に発見され、東海道新幹線の高架方面へと逃走した容疑者は、ひなた山地区の内林第二公園付近で身柄を確保された。区民からは「まさか泉区にいたとは」、「ひとつ間違えていたらと思うと恐ろしい」といった声が聞かれた。
「容疑者が逃走中に車と携帯電話を友人から入手した」、「泉区と瀬谷区付近で仲間と落ち合う」という情報等から県警は当日、両区で緊急配備を敷いた。幹線道路に朝からパトカーや白バイが巡回し、駅に多数の捜査員が配備され、上空にはヘリコプターが飛ぶなど区内は厳戒態勢となった。
先に容疑者を送ったとされる友人の車を発見し、容疑者がもつ携帯電話の微弱電波を区内でとらえたため、容疑者の行方を追った。
区内では早朝から新橋町や松陽高校付近などで捜査を強化し、新橋町から現場付近の環状4号方面を結ぶ道路沿いには捜査官が数十メートルおきに立つ姿がみられた。容疑者は区北部と瀬谷区南部の区界で友人の車を降りた後、逮捕現場まで西に移動したとみられる。
逃走経路付近に学校
容疑者が逃走したとみられる経路付近には、新橋小やいずみ野小、阿久和小、いずみ野中の各学校があり、登校する児童生徒と容疑者が接近していた可能性がある。
容疑者は発見時に再び逃走を図っており、逮捕劇が小中学校の登下校と重なった場合、さらなる事件に発展した可能性を心配する区民の声が聞かれた。
現場近くの幼稚園に子どもを通わせる保護者からは「情報がなく困惑した」という声もあった。
容疑者発見の知らせを受け、現場には多数の緊急車両が急行した。報道ではNHKが生中継するなど、現場や泉警察署など区内の上空にはヘリコプターが複数旋回した。
現場近くに住む横山勇太朗市議は、自宅付近の和泉川から新幹線の高架方面に50人位の捜査員が容疑者を追いかける姿を目撃した。「考えると怖い。捕まって良かった」と話した。
泉と瀬谷で情報伝達に差
今回の逮捕劇では泉区と瀬谷区とで情報伝達に差がみられた。学校関係では、瀬谷署が学校警察連絡協議会(学警連)を通じて午前10時ごろに各学校へ下校時の注意喚起を行ったが、泉署から区内の学校への連絡はなかったという。
いずみ野小では、周囲が物々しかったため、三家地区方面の児童の集団下校を職員で検討していた矢先の逮捕だった。阿部淳子校長は「情報がなく、勝手なことはできない。何かがずれていたら、子どもたちの下校後だったらと思うと」と不安な心境を明かした。
逮捕現場に近い松陽高校やいずみ野中学校にも情報がなく、通常通りに授業を進めていた。
泉署生活安全課によると、学警連への連絡に明確な基準はないという。事前に情報があると容疑者を刺激したり、野次馬が大勢訪れる可能性があり、情報提供を差し控えたのではないかという学校関係者の声もあった。
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