開所10周年を迎えた横浜市南戸塚地域ケアプラザで所長を務める 加藤明成(あきしげ)さん 横須賀市在住 50歳
ケアプラザは”色男”
〇…「ケアプラザって色男なんです」。イベントを企画すれば自然と地域住民が集い、開催を応援してくれる様子をそう表現する。戸塚町の高台に開所して10年。「福祉のよろず相談所」の機能を発揮させるため、地域への積極的な顔出しなど施設の周知に力を注いできた。その成果もあり、今は子育てや介護の相談が日々寄せられる。「我々は地域の支えがあって、初めて仕事ができるんです」
○…福祉に興味を抱いたのは、高校時代に観たヘレン・ケラーの半生を描いた芝居がきっかけ。「人が人と接し、人の一生を左右してしまうなんてすごい」。大学で障害児教育を専攻し、卒業後は知的障害者施設へ就職。しかし念願叶って福祉の道を歩み始めるも、施設が社会から孤立して建つ状況に疑問を抱く。「障害者も家庭で過ごし、地域で育てるのが本当の姿ではないか」。根本的解決には福祉を必要とする弱者に平等な街づくりが大切と痛感し、社会福祉協議会を経て、5年前からケアプラザで地域づくりに取り組む。
○…休日は障害者スポーツのコーチ。水泳やフライングディスクの指導にあたっている。先日は運動経験のない重度障害者がフライングディスクに挑み、飛距離を自己ベストの10cmから1cm更新した。大記録を目指すためではない。しかし「『自分も運動ができる』と知ってもらい、一緒に喜びあえるって幸せじゃないですか」と興奮気味に語る。
○…例えば聴覚障害者の待ち合わせ。「昔はファクスで場所や時間を決めていたけれど、今は携帯メールのおかげで急な変更でもすれ違うことがない」。福祉を取り巻く環境は30年間で大きく改善されたと感じる。一方、土台は整備されながら介護保険制度など利用法の難しさを訴える声が多い。「いかにうまく活用できるか、専門の立場で提案するのが我々の役目」。”知ってもらう”から”使ってもらう”を目指し、11年目のスタートを切った。
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4月18日