操業75周年を迎えた(株)ブリヂストン横浜工場で工場長を務める 五十嵐 克介さん 平塚市在住 53歳
「個を尊重」は世界共通
○…主にコンベヤベルト、免震ゴム、防振ゴムなどの”ノン・タイヤ”を生産する(株)ブリヂストン横浜工場。1938年に戸塚の地で操業を始め、今年で75周年を迎えた。約22万平方メートルの敷地には、塀を隔てて住宅地や線路が接近。国内16工場でも珍しい”都市型”だ。「生産活動を続けていけるのは地域の理解があってこそ。先輩達が築いた信頼関係を壊してはならない」。敷地内に流れる柏尾川や舞岡川の清掃活動にも、地域の一員として社員が参加を続ける。
○…大学院卒業後、85年に入社。98年から計8年間はアメリカに滞在し、テネシー州の新工場立ち上げにも携わった。「アメリカは家事の分担が男女50対(フィフティフィフティ)50の国。男でも夕方になると子どもを迎えに帰ってしまう」。一方の日本人スタッフは、国が変わっても夜遅くまで身を粉にして働くスタイルは変わらず。チームワークを尊ぶ日本に対して個人主義のアメリカなど、当初は直面する数々のギャップに苦慮したが、それは相手も同じこと。まずは文化の違いを互いにリスペクトしあう大切さを知った。
○…2005年、隣を歩いていたアメリカ人の工場長が仕事中に心臓発作で倒れ、そのまま帰らぬ人に。葬儀でスピーチの依頼を受けてマニュアル本を開くも、そこにある例文はどれも通り一遍。そこで故人の口癖だった「Fair」や工場内での愛称を交えながら飾らない言葉で思いを述べると、親族に大好評だった。「国の違いに関わらず、シンプルな言葉こそ相手に気持ちは伝わるもの」
○…昨年10月にタイから帰国して、3年ぶりの国内勤務だが「同じ言語を話し、同じ顔をしているから気が付きにくいが、日本人同士でも世代により個々の考え方や価値観はまるで異なる」。肝心なのは違いを否定するのではなく、認めること。28年におよぶキャリアの半分を海外に赴任した経験を生かし、「人」を尊重しながら久々の母国で仕事に励む。
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