特別養護老人ホームなどを運営する高齢者介護総合センター「聖母の園」(原宿)で2月14日、夜間を想定した消防訓練が実施された。これは60年前の1955年2月17日に非商業施設として戦後最大の死者数となった火災が同施設(当時は聖母の園養老院)で起きたことを教訓に実施されたもの。
訓練には同施設の職員、地域住民、消防隊、消防団など、100人が参加。夜間に火災が発生した想定で、発煙装置などを使った実践的な訓練を行った。
まずは施設職員が初期消火と119番通報を実施。近隣に住む住民が応援に駆けつけ、入所者役を車いすに乗せ、スロープで2階から避難誘導した。その後地域の消防団、消防隊が順に到着し、消火活動や逃げ遅れた人の捜索、救助活動を進めていった。
訓練を終え、戸塚消防署の坂本浩署長は「協定を結んでいる地域の方の協力もあり、心強く感じた」とし、消防設備が作動するかなどの確認を定期的に行うことの重要性についても話した。養護老人ホーム施設長の内田誠さんは「60年前の火災は忘れてはいけない、二度と起こしてはいけない。人命を第一に考えなければ」と話していた。
60年前に同施設で発生した火災では、入所者95人、職員2人が死亡。負傷者も合わせると100人を超える被害となった。被害が大きくなったのは、建物が老朽化した木造建築で消防設備が不十分だったこと、発生時刻が午前4時半で就寝時間だったこと、入所者が自力で避難できない高齢者が多かったことなどが要因とされている。
父親が当時、救助・消火にあたったという戸塚消防団第六分団長の金子敏明さんは「父からは多くの方が被害に遭い、団員は救助や遺体の搬出もしたと聞いている。当時の話を聞いているからこそ、訓練の重要性をより感じた」と話した。
昨年の火災件数
2014年の横浜市内の火災発生件数は949件(前年比19件減)。火災による死者数は20人と平成に入って最も少なかった(放火自殺者7人含む)。戸塚区内の火災発生件数は53件(同10件増)、火災による死者は1人だった。
戸塚消防署によると、件数は増加しているものの、過去10年の平均件数の62件よりも少なく、長期的に見れば減少傾向にあるという。また、出火原因は「放火」が最も多い19件で次いで「たばこ」だった。横浜市消防局では、放火火災の発生状況を行政区別で発表し、随時更新している。区内では今年に入り、1月5日午前9時半ごろに秋葉町で、16日午前3時ごろに上倉田町で放火火災が発生している。市消防局では、家の周囲に新聞などの燃えやすいものを置かないようにと注意を呼びかけている。
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