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公開日:2015.07.02
県政報告【3】
大規模災害発生時の治安悪化から県民の財産と安全を守る
神奈川県議会議員 北井宏昭
東日本大震災発災の2週間目から15日間の自らの災害現場周辺地域での体験ですが、大規模災害発生時には治安が悪化します。
マスメディアが報道を控えていたため、広く知られていませんが、平成23年の東日本大震災の発災時から1ヶ月間、災害現場やその周辺地域では、物取りを中心とした犯罪=コンビニ・ホームセンター・飲食店等々の店舗を対象とした出店荒しや、窃盗目的の建造物侵入、窓ガラス等の破壊行為等=が多発しました。
仙台市と石巻市では、地元消防団から「車の中で寝泊まりをすることは止めてくれ。寝込みを襲われる事案が相次ぐほど治安が悪化している」と忠告されました。さらに石巻市では「夜間、市内を走る車でさえも襲撃されている」とも警告されました。
治安維持に人員割けず
本年6月、北井の実施した宮城県警察本部への調査によると、当時、全国各地から被災地に多くの警察力が結集したが、人命救助活動や検死活動、交通誘導整理に多くの人手を要した、とのこと。よって、警察力が結集したものの、治安維持のための活動に十分な人員を割けなかったのです。
警察車両が、災害現場に通ずる多くの辻々に張り付きましたが、すべてを網羅することは不可能でした。宮城県警察本部によると、犯罪は、発災当日からの10日間に集中して発生するのが特徴とのことですが、2週間を過ぎてなお被災地周辺では物取りが続きました。地元消防団が警察の代役を担う場面もありました。
しかし、消防団に様々な負担が集中している状況下で、あわせて治安維持活動を担わせてしまっては、その効果を大きく求めることは酷であります。
被害総額、同月前年度比16倍
東日本大震災発災後1ヶ月間の宮城県内の全刑法犯認知件数と総検挙件数および総検挙人員は、ともに同月前年度比で大幅に減少しました。しかし被害総額は、認知されているだけで約17億5千万円と同月前年度比で約16倍も増加。内、現金被害は約7倍増加の2億9千万円。認知されている被害だけで、こんなにも増加したのです。
この数的矛盾は、当時の混乱状況下、被疑者等を勾留することが困難であったがために、やむを得ない不拘束措置から生じたのではないか、と察せられます。
女性も守る
繰り返しますが、明らかに治安は悪くなるのです。そして同時に、女性が被害者となる犯罪が発生していたであろうことも憂慮しなければならないと考えます。
そんな中、北井も参加した石巻市災害ボランティアセンターが設置されていた石巻専修大学キャンパス内は、自衛隊が駐留していたこともあり、治安が良く多くのボランティアの方々のテント村になっていました。
陸上自衛隊・東北方面総監部で発災当時の治安状況を伺ったところ、「おおむね治安が悪くなっていたようには感じなかった」との回答。自衛隊および自衛隊員の存在そのものに、犯罪行為の抑止効果があるのです。
速やかに治安維持対策を
大規模災害発生時、ただちに治安維持対策を起動させないと地域住民の「財産」や「安全」を守ることは出来ません。全国各自治体から警察および消防、そして自衛隊は結集していただけます。しかし、その任務は人的被害の救済的活動が主となります。
であるのであれば「自助・共助」の観点からの、自警的組織の起動が必要です。そして、そのことにより警察・消防・自衛隊の方々の主たる活動について、さらに集中することが出来るようにもなります。
平時、本県でも、各地域のシニア世代の皆様のご尽力で児童の登下校時に見守り活動が行われ、児童の安全確保に大きな成果をあげております。
しかし、大規模災害発生時という有事の際の治安維持については、自衛隊員の活動地域周辺で治安が安定することで明らかな通り、屈強な肉体を持った現役世代の存在が必要です。つまり各種スポーツや武道等の団体や企業等々との連携も有効的と考えられます。
平成24年4月に策定された神奈川県地域防災計画には、「県警察は、県災害対策本部等関係機関と連携」の上、「災害応急対策や防犯対策等を実施する」と明示していますが、東日本大震災を検証すると、警察力だけに頼っても県民の「財産と安全」を守ることが困難であることは明らかです。
現状では、大規模災害発生時に自然災害以外の犯罪被害から県民を守ることは出来ない、と考えます。「公助」には、限界があるのです。
「自助・共助」について、防災面においての強化は進んでいると認識しております。しかし、治安維持の面においては、さらなる強化が必要です。
県議会に文書質問で対策提案
現在開会中の県議会では、【1】周辺地域住民による、もう一歩踏み込んだ自警的組織の準備を進めること【2】「自助・共助」の意識を高めるためにも、発災時の治安の悪化状況を広く県民に周知すること――を知事に質問趣意書で提案いたしました。
これからも、皆さんが安心して暮らせる地域づくりのため、活動を継続していきます。
北井宏昭
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横浜市戸塚区戸塚町3870-1
TEL:045-871-5454
FAX:045-871-5459
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