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戸塚区版 公開:2017年10月5日 エリアトップへ

戸塚区唯一の銭湯「矢部の湯」 81年の歩みに終止符 創業以来「交流の場」担う

文化

公開:2017年10月5日

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壁画を背景に微笑む江尻夫妻
壁画を背景に微笑む江尻夫妻

今年創業81年となる区内唯一の銭湯「矢部の湯」(矢部町)が、9月30日に惜しまれつつも閉店した。同店は、近代的な駅ビルなどが立ち並ぶ戸塚駅前にありながら、長年に渡り地域住民に銭湯を通じて「交流の場」を提供してきたが、時代の流れの中でその姿を消すこととなった。

 「矢部の湯」は店主だった江尻栄一郎(70)さんの祖父から3代に渡って営まれてきた。

 石川県から上京してきた初代・牛松さんが1936年(昭和11年)に現在の場所に開業。その後、1946年に娘婿の2代目・乙次郎さんが跡を継ぎ、建物を新築したり、従業員を雇い入れたりしながら経営を安定させていった。

 そんな姿を間近で見てきた3代目・栄一郎さんが1972年、25歳で「この伝統を守ろう」と跡を継ぐことに。その後結婚し、妻・伸子(70)さんと共に店を切り盛りするようになった。「経営は大変たったけれど、皆さんの支えがあってこそ、ここまでやって来られた」と口を揃える。

内風呂化で利用者減

 夫妻は今年7月に閉店を決意。最大の要因は「銭湯の衰退」だ。高度経済成長期以降、個人宅や賃貸アパートで内風呂化が浸透し、それを機に徐々に客足が遠のいてしまった。

 加えて、自身らの高齢化や施設の老朽化、薪をくべる際の煙に苦情が相次いだことも重なり、店を畳むことに。一方で夫妻は「閉店の貼り紙を見てから来て下さる人もいて、寂しいけれど嬉しい気持ちでいっぱい」と心情を吐露した。

熱料に薪を使用

 全盛期は昭和50年頃。当時は風呂椅子が足りなくなるほど老若男女で溢れ返り、おむつ替え専用のベビーベッドを8台設置したことも。伸子さんは「あの頃は近所のおばさんが子どもにお風呂の入り方を教えたり、お客さん同士湯船に浸かりながら会話に花を咲かせたりしていた。銭湯ならではの交流だと思う」と懐かしむ。

 また、水を薪でじっくりと沸かしたお湯にも定評があり、多くの利用客から「お湯が柔らかくて肌触りが抜群。体の芯から温まるので、湯冷めしにくい」といった声が上がっていたという。そうした伝統を貫き通したかいあってか、区内をはじめ、南区からバスを使って来る常連客にも恵まれた。

番台から人々見守る

 現代の銭湯では減少してきている「番台」。その番台も矢部の湯の名物のひとつだ。夫妻は番台から年配の利用者や子どもを見かけるたびに、のぼせたり転んだりしないか細心の注意を払ってきたという。伸子さんは「全体を見渡せる番台だからこそ、多くのお客さんを見守ることができたのかも」と振り返る。

 50年間に渡り、家族で利用してきた吉田町在住の女性(79)は「次、どこの銭湯へ行けばよいか分からない。この町でまた一つ昭和から続く憩いの場を失ってしまい寂しい」と話し、名残惜しい様子で同店を後にした。なお、番台などは、来年1月に横浜市歴史博物館(都筑区)で展示される。

 

入口に飾られたオリジナルのタイル画
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