戸塚町在住の武田さわ子さん(61)が営む、がん治療をしている人を対象にした医療用ウィッグ(※)の販売会社が設立1年を迎えた。自身も2009年、乳がんに罹患。闘病中に出会ったウィッグに助けられた。経験を生かし、現在はがん患者を支える立場として、日々奮闘中だ。
「私のがん治療の経験が一人でも多くの患者さんの支えになれば」--。
そんな思いから、昨春、自身が闘病中に愛用した医療用ウィッグを販売する(株)明和企画を立ち上げた。自宅にサロンを開設し、抗がん剤の影響による脱毛時のアドバイスや、各々に適した商品の紹介などを行っている。
この1年で約50人の相談に対応。実際の利用者からは「自分に合ったウィッグを選べ、おしゃれを諦めずに済んだ」や「髪が抜けて本当につらかったが、ウィッグが生きる勇気をくれた」といった声が寄せられている。
「自信を持ってかぶれた」
武田さんは2009年に乳がんと診断され、右乳房全摘出を行っている。手術はとてもつらいものだったが、それに追い打ちをかけたのが、抗がん剤治療による脱毛だ。「髪は女性の命。少しずつ抜けていく髪が全てなくなるのを想像すると、涙が止まらなかった」と振り返る。ウィッグを探し始めたが、品質や値段はメーカーによって千差万別。自分に最適なものがなかなか見つからず焦燥感に駆られた。
そんな中、友人の紹介で著名なウィッグプロデューサーの商品と出会う。「着用してみたらとても自然で、すぐに馴染んだ」と感銘を受けた。自分で簡単にサイズ調整ができ、締め付け感もなく蒸れにくいのが特長。なにより、時間が経ってもヘアスタイルが維持されるので、つねにおしゃれが楽しめたという。「自信を持ってかぶれるウィッグに助けられ、希望を見出せた。この良さを広めようと、会社を設立した」と話す。
医療機関で講習も
現在では、県内の総合病院やがん相談支援センターでウィッグ選びのポイントを伝える講習会を開催するなど、医療機関と提携した活動にも尽力している。武田さんは「いつかお客さんからの要望を集めて形にした商品も提供したい。ライフスタイルに合った、ありたい姿でいられるようなウィッグを探す手伝いができれば」と展望を語った。
問合せは武田さん【電話】045・864・8141。
※医療用ウィッグ…抗がん剤の副作用などで脱毛した際にかぶるかつら。地肌に優しく、通気性の良いつくりとなっている。
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