非行少年を更生させることも必要だが、まずは少年が非行をしないよう、健全に育てることが重要となる。
神奈川県内では現在、5市町を除く市町村等の教育委員会が、県警本部と児童生徒の健全育成や非行防止を目的とした連携制度に関する協定を締結している。この協定により、学校と警察が非行の可能性がある少年、また被害に遭う恐れがある少年等の情報を共有し、連携しながら対応していく仕組みを作っている。県内で最も早い2004年11月に協定を結んだのが横浜市教育委員会だ。
警察との連携というと非行後の対応をイメージしがちだが、あくまで目的は「児童生徒の健全育成と非行防止」と市教委の担当者は強調する。例えば盗癖があって繰り返し万引きをしてしまう少年がいた場合、学校側が協定に基づき、少年に関する情報を警察に提供。氏名や学年組等の学籍、事案の概要といった情報だけでなく、学校が行った少年への対応についても共有する。さらに、警察が少年相談・保護センター等で行った指導も学校に伝え、互いの動きを知り、どのような指導が最も適しているのかを相互に判断しながら対応を繰り返すことで再犯防止につなげていく。市教委の担当者は「警察も(少年を)育てるという視点で取り組んでくれている」と話す。
さらなる連携も模索
社会状況の変化により少年を取り巻く環境が複雑になる中、2013年度からは児童生徒の安全に向けて地区警察と学校担当者が情報交換等を行う県の学校警察連絡協議会に児童相談所が加わるなど、「県内全体が手と手を取り合って少年を見守っていこうという流れになっている」(市教委)。これまで協定を結んでいなかった川崎市教育委員会では今年2月に起きた中学生が殺害された事件を受け、同様の協定を年度内に結ぶ方針を決めたという。
「学校や警察に限らず、いろいろな機関の中で考えていかないと、本来の意味での健全育成にはならないのかもしれない」と横浜市教委担当者。少年たちが抱える問題に対応するには、警察や学校を含め、地域全体で少年を見守る体制作りが重要となる。 (了)
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