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公開日:2011.09.01
液状化現象
内陸部も注意必要
震災から半年 専門家が指摘
東日本大震災からまもなく半年。金沢区では柴町ほかで液状化現象が発生し、マンションや道路に被害が出た。専門家は、再び大地震が起こった場合、沿岸に限らず内陸部でも液状化する可能性を指摘している。
3月11日午後2時46分、三陸沖を震源とする地震は、横浜市内でも震度5強を観測。インフラや交通機関のマヒ、帰宅困難者の発生などが相次いだ。
特に金沢区に被害をもたらしたのは、液状化現象だ。道路や駐車場に段差が生じたり、砂が噴き出す(噴砂)などの現象が、柴町や福浦の一部で見られた。本紙は、関東学院大学工学部の規矩(きく)大義教授(地盤防災工学)に、金沢区の液状化被害について詳しく話を聞いた。同氏は、液状化現象を20年以上研究している。
「最も遠い場所」で発生
規矩教授によると、震源から最も遠い場所で起こった液状化被害が金沢区だったという。300キロ隔てたこの地での液状化には、複数の要因がある。
一つは、揺れの周期だ。この地震では、ゆっくりとした長い揺れが数分間続いた。これが、砂の粒と水が混ざり合う液状化現象が起こりやすい状態をつくりだしたという。
さらに、直後に何度も起きた余震が追い討ちをかけた。本震でダメージを受けた地盤がさらに揺れたことで、被害が大きくなった。
埋め立て地に被害
加えて、今回被害が出たのは、横浜市が1974年から80年にかけて埋め立てた場所。海底にあった粘土層の上に、千葉県から運ばれた山砂などを投じ、陸地をつくった。
砂を中心とした地盤は、もともと液状化しやすい。通常、埋立地を造成する場合は、地盤沈下や液状化への対策工法が採られる。しかし、同地の埋め立てが始まった1970年代は、まだ液状化に関する研究が未発達だったこともあり、対策が不十分だった可能性がある。
それでも、今回建物の倒壊など甚大な被害にならなかったのは、マンションなどの建築時に地中深くまで杭が打たれていたためだ。幸いにも、水道管やガス管の破損など、ライフライン寸断も免れた。ただ一方で、被害が出た一部の集合住宅では、未だ復旧が進んでいない箇所もある。
起こる前提の対策を
規矩教授は、「金沢区が再び大地震に見舞われた場合、液状化も起こると考えたほうがよい」と警鐘を鳴らす。今回被害が出た沿岸部の埋立地ばかりでなく、かつて入り江や塩田だった地区、川や沼を埋め立てた場所も注意が必要だ。内陸部を含め、地下水の水位が高く、砂を中心とした土地ならば、液状化の可能性はあるという。県では、東京湾や三浦半島などを震源とする地震を想定し、地震被害想定調査の結果を2009年に公表。液状化の被害予測も、ホームページで閲覧できる。
液状化そのものを予防するには、地盤改良などの対策が有効となる。しかし、工事が大規模なうえ、膨大な費用が必要なため、広範囲で実施することは難しい。「液状化しても傾きにくい家、破裂しにくい水道管など、発生を前提とした対策のほうが現実的」と規矩教授は話す。
自然災害からいかに被害を減らすか。まずは、災害は起こるものという意識を持つことが、その第一歩になるだろう。
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