果実は石けんの代用 ラグビーボール状の「エゴノキ」 日本自然保護協会自然観察指導員金子昇(富岡西在住)
秋、区内の日当たりのよい林縁や公園で、枝から下がっている楕円状をした灰白色のエゴノキの実を目にすることがあります。エゴノキは、初夏に長い花柄を持った白い花をたくさんつけ、下から仰ぐと大変美しく清楚な感じの木です。
果実は、長さ1cmほどのラグビーボール型で、表面は細かい星状毛が密生しています。熟すと縦に割れ、中から褐色の種子が出てきます。名の由来は果実をかじるとえぐい(えごい)味がすることから付けられ、英名は「スノーベル」です。
果皮にはエゴサボニンを含み、麻酔効果があるため、昔はすりつぶした実を川に流し、魚が浮いてきたところを捕らえるのに利用されました。また、若い果皮を潰すと泡が出てくるので、洗濯石鹸としても利用しました。ここから別名「セッケンノキ」ともいわれています。種子の中には、小さな虫が入っているので、釣りの餌につかわれることがあります。
子どもの頃縁日で、小鳥のヤマガラが、小さなお堂の扉を開け、中に入っている御神籤(おみくじ)をくわえてお客に渡すという夜店がありました。その時のヤマガラへのご褒美にエゴノキの種を与えていたことを覚えています。皆様の中にもこうした経験を持たれた方がおられると思います。
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