季節の花【11】 扉と「トベラ」 栄養価ゼロの実で鳥を誘う 日本自然保護協会自然観察指導員 金子昇(富岡西在住)
初冬の頃、区内の公園や庭木・垣根等でよく見られる「トベラ」の実は、はじめは緑色で、後に赤褐色に変わります。そして3つに裂け、中からベタベタした鮮やかな橙赤色の種子が出てきます=写真上。この時期は、見るからに鳥が好みそうな色をしていますが、しかしこの実は、全く栄養のない薄い皮で種子を包んだだけの「果実擬態」です。このようにトベラは最小限のエネルギーを使うだけで、子孫を繁栄させる方法を身に付けた賢い倹約家(エコ)といえます。このような果実擬態を持つエコな木には、ニシキギやツルウメモドキ等があります。
トベラは、暖かい沿岸地方の明るい山林に生育する常緑低木で、4〜6月に芳香のある白い花を咲かせ、後に淡黄色に変わります。枝葉を切ると独特の悪臭を発散し、鼻が疼(うず)くため、節分の日には、トベラとヤツデ(またはヒイラギ)の葉と枝を扉に挟んだり、火にくべて燃やしたりして、鬼を追い払いました。ここから「扉の木」つまり「トベラ」と呼ばれるようになり、学名にも”tobira”と記されています。
また、枝葉や根を焼くと、さらに悪臭が強くなるので、竃(かまど)で炊くのを嫌います。竃の神(荒神様)も嫌うということから、地方によって、トベラは「オコウジンキライ」(御荒神嫌い)と呼ばれています。
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